初めてのチカン被害-5
勇気を出して、座席から立とうと思ったとき、
お兄さんから二の腕をつかまれた。
「それはないんじゃない?
ここまでやっといて。
ホテルで続きをしようよ。
もっと気持ちよくさせてあげるから。」
耳元で、息を吹き付けられながら、囁かれた・・
きっとお兄さんは、私が処女だって知らないのかもしれない・・
初めての人が、チカンなんかじゃイヤだ・・
誰か助けて・・誰か・・
怖い。怖い。。
ここは、自分の身を守るためにうそをつくしかなかった・・
震えそうになる声を、わざと押しつぶして、ゆっくり、低めに言った。
「私の彼って、ソッチ系の人で、
浮気すると、私が締められるだけじゃ済まないんです。
あなたも、覚悟してくださいね。」
お兄さんは、一瞬びっくりした顔でこっちを見て、
足早に去って行った。