23 強者の渇求(性描写)-7
その日から、自由時間も閨から出る事は許されなかった。食事もミスカと閨で取る。
他に変わった事は、閨を訪れる主が、男だけになったくらいだ。
以前は女の主も来る事があったが、ミスカに見せつけるのを面白がるのは、男だけだった。
そして当のミスカは、反省も宗旨変えもする気はないようだった。
主たちが閨にいる時は黙って睨み、エリアスと二人だけになるとたまに口を聞くが、棘のある言葉を吐くだけ。
ツァイロンは時おり様子を見にきたが、目に見えて失望していた。
しだいに、自分が廃棄されるのは確定だと諦めはじめた。
そしていつのまにか、心の隅では、それでも良いと吐き捨てていた。
それくらい、ミスカが嫌いだった。
あれだけ悪態をつかれれば当然だが、それ以上の……あの輪姦しようとした輩たちに感じる侮蔑とも違う、もっと激しい何かが、エリアスをイラつかせていた。
その正体は解らなかったが、とにかく向こうもエリアスが嫌いなようだし、おあいこだ。
どちらにしても近いうちに自分は廃棄されるのだから、もう関係ない。
そう思っていたが……
何が原因かは知らない。
エリアスはミスカに好かれるような事など、何一つした憶えはない。
しかし、ミスカは急に鬱陶しい程エリアスに構いだし、主たちにも大人しくなった。
ツァイロンもさすがに驚いたようだ。
しかし誰が見ても、明らかにミスカの激変は、エリアスを気に入った結果だった。
「上出来だ」
満足そうに笑い、エリアスを撫でた。
ゾクリ、と何かが湧き上がるのを感じた。
考えてみれば、ツァイロンに褒め言葉らしいものを掛けられたのは、これが初めてだ。
大好物の苺をほお張った時より何百倍も美味しい味が、体中に広がった気がした。
ミスカに感謝さえ覚えたほどだ。
だからミスカが大人しくする代わりに、エリアスを抱かせてくれと言い出した時も、きちんと奉仕しようとした。
なのにミスカは、絶対に動くなと怒りだした。
感度を抑えて造られたのだと説明しても、頑固に首を振って愛撫を繰り返した。
息が止まりそうなくらい何度も口づけられ、全身を舐められるうち、身体の芯が奇妙に蕩けだしてきた。
少しづつ競りあがる快楽に脅え、許してくれと泣いてすがっても止めてくれなかった。
ミスカは何度も何度もエリアスを抱いては、快楽を教え込み、グズグズに蕩かしていった。
何もかもを諦めていたエリアスに『もっと欲しがれ』と囁き、奥底に眠る願望を暴きたてようと、嬲り続けた。
そしてしまいに、エリアスが心の底で飢えていたものの正体を気付かせた。
――よりいっそう、ミスカが憎らしくなった。
それはエリアスが得られないモノで、尚且つミスカは持っているモノだったから。
ミスカはエリアスより早く、それに気付いていたのだろう。
だからこそ、お手軽な贋物をエリアスの鼻先にぶらさげて見せた。
冗談じゃない。 弄ばれるのは身体だけで沢山だ。
魔力増幅の手術を、必死でツァイロンへねだった。
性玩具にすぎない身には、死ぬリスクの方が高かったが、発狂しそうな痛みに何週間も耐え、地上で知識収集を認められるだけの魔力を得た。
そして海底城のために、ストシェーダの魔眼王子へ仕え始めたのだ。
地上に行く事をミスカに告げた晩、立てなくなるほど犯されながら、あざ笑ってやった。
強者が弱者を喰い漁るのは当然だが、喰われる方にも逃げる権利くらいある。