第四章 淑女墜落-7
(ダ、ダメッ……こんなの……つ、辛すぎる……ああっ……)
どれほどの痒悦感に見舞われようとも、自らの意思でそこへ手を伸ばすことだけは絶対に出来ない。
もう何度も男達の前で醜態を晒してしまったが、それらは全て無理やり強いられたものばかり……プライドだけは失いたくなかった。
「奥さん、ジッとしてはおられんのかね?」
「んっ……ん、んんっ……」
「まっ、この特製媚薬を塗られたとあっちゃあ、無理もないか。大村さん、申し訳ないんだが、奥さんの厭らしい尻をちょっとばかし押さえといてくれませんか?」
「はいはい、了解しました」
クネクネともどかしそうに艶めく腰を、大村が両手でガシッと掴んだ。
「ア……アア……」
強烈な媚薬に灼かれ、ほんのりとピンク色に染まっている肛門にブスリと突き立てられていくガラス管のノズル。
その硬質で冷たい感触が、燃え上がっていた箇所にただならぬ快美さをもたらしてくる。
「んああっ……ああ……」
美優は、たまらず噛み締めていた歯をゆっくりと開きながら低い声で呻いた。
「苦しくないよう、少しずつ入れていきますからね。あ、ああ、奥さん、動いちゃ危ないって」
「ああ……す、すみません」
美優は自分自身が情けなくなり、慌てて眼を閉じた。
狂いそうなほどの痒みを一瞬で愉悦に変えてくれたノズル……はしたなくも、美優はその快美さを求めて自ら腰を引いたのだ。
排泄器官へ埋め込まれた異物―――不快でしかないはずなのに、それがいまは何よりも恋しくなっている。
(た、堪らない……早く……弄って欲しい……)
浣腸器の先がアヌスへ埋まりきると、すぐにチュルルと薬液が流れ込んできた。
「んくっ……くうう……あはあぁ……」
少量ずつ注入されてくる液体が、下腹部へキリキリとした痛みを与えながらも確実に掻痒感を打ち消してくれている。
不思議な感覚だった。
50cc入れては休憩を挟み、美優の顔色を見ながら再び注入していく。
張元の浣腸は何とも絶妙で、苦痛よりも快楽に近い感覚をもたらしてくる。
もちろん、媚薬クリームなどを塗りこまれなければそんな感覚などあり得ないのだろうが……。
「どうです、奥さん? 少しは浣腸が好きになったでしょう?」
張元がニンマリ顔で声を掛けた。
美優は何も答えられなかった。
しかし、ワナワナと小刻みに震えている唇は、浣腸を終える間ずっと淫らに開いていた。