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隣人は何を思う
【ホラー その他小説】

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見えざる-1

いつからだっけ?
見えるようになったの。

今日も学校へ行く。
足取りが重い。
長い髪の女が足首にしがみついているからだ。
僕はそいつを引きずって歩く。ずるずると引きずられても女の表情は変わらない。


この女はある時突然現れて、いや、最初から足にしがみついていた。
勿論最初はパニックを起こした。叫んだし泣いたし暴れた。
でも何をやってもこいつは居なくならない。喋りもしないし触れることも出来ない。ただ足にしがみついているだけだ。その割に重みだけは感じる。

ひと月も経った頃、漸く僕は慣れた。
すると不思議な事に、他の人達にも【同じようなもの】がくっついてるのが見える。
と言うか、くっついてない人は居ない。
気付いてる人は何人か居るようで、くっついてる箇所を過剰に意識したりしている。
でも大半の人には見えてないようだ。
以前の僕もこうだったのだろうか。


父さんにも母さんにも爺ちゃんにも婆ちゃんにも妹にも、皆ヤツらがくっついてる。
何だろう?こいつらは。何か目的があるのだろうか。

この女はくすりとも笑わない。ただジッと僕を見つめる。
暇な時はピーナッツを与えたりしてみたが、口にしない。
何も食べないみたいだ。

爺ちゃんが死んだ。
火葬場で最期のお別れをしようとしたら、爺ちゃんにくっついてたそいつと目が合った。
気付くとそいつは女がくっついてる反対の方の足にくっついてきた。
僕は両足に重みを感じて不愉快だ。

有名なお寺に行き、数万円払って除霊してもらう事にした。

「これで大丈夫です」

そう言われたけれど両足にはまだしっかりと掴まってるアイツらが居た。
僕をジッと見てる。
全然大丈夫じゃない。

「まだ居ます」と言ったけど、坊主は「もう成仏しました」とか言ってる。
もう一回見てもやっぱりいる。
嘘つきめ。



樹海はとても静かだった。
中をある程度散策すると、僕は丁度良い太さの枝を持つ大木を見つけた。
大した意味も無く、ポンポンと大木を叩き、そのまま枝へロープを掛けた。
こいつらも立派な重しになってくれるだろう。


誰も僕を見つけてはいけない。
もし見つけても、見える人なら目を合わせちゃいけない。
流石に二人抱え込むのは辛いよ。
誰も見つけるなよ。
別に死にたくないけど、他で死んだら迷惑だろう?

君にも君にも君にも。
君達の誰かが迷惑する。

僕は大丈夫だよ。

大丈夫だから

見つけるな





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