ゼロ-18
「……キスはダメ……でも!他は良いって言うかっ!正直、ヤリたいって言うか……」
しどろもどろになりながらまくし立てる女を、ゼロは呆気にとられて見る。
(……ヤリたい?ヤリたいって……)
ゼロは堪らず吹き出して大笑いした。
「はははっ、マジで変な奴っ!!」
血まみれで倒れてた奴隷男とヤリたいなんて酔狂すぎる。
突拍子無いのはお互い様だがこれは酷い。
「ははっ…後悔しないな?」
涙目になるまで笑ったゼロは女ににじり寄る。
「しないもん」
赤い顔で頬を膨らます女に、ゼロはゆっくりと顔を近づけた。
「あ、でも私シャワー浴びてなっんっ」
雨に濡れたままだった女は身体を反らそうとしたが、それより早く動いて捕まえる。
「構わねぇ……つうか我慢できねぇ」
ゼロは女をしっかりと腕に抱いて頬に唇を落とす。
柔らかく甘い女の味に、ゼロの股間がズクンと反応した。
「ぁうぅっやあん」
執拗な愛撫に戸惑い、身体を捻って逃げようとする女をゼロはひょいっと抱え上げた。
「きゃっ」
女は慌ててゼロしがみつき、驚いた顔を見せる。
「凄ぇだろ?」
ゼロは自慢気に言いながらベットに移動し、女を押し倒して額を合わせた。
「名前は?」
「えっと……カリー」
「そっか、俺はゼ…」
(おっと……)
ゼロと言いそうになって慌てて口をつぐむ。
あの男に付けられた名前なんて名乗りたくない……しかし「ゼ」まで言ってしまった。
ゼロは視線を巡らせて窓の外を見る。
そこに宿屋の看板『INN』の文字が見えた。
「そうだな……ゼインでいいや」
「……でいいや?」
「いや、名前無いから今つけた」
咄嗟につけたが、まあまあの名前だ。
「ゼイン?」
「そう……もっと呼んでくれ……忘れちまうかもしんねぇし」
ゼロ改め、ゼインはカリーの首筋にキスしながら服を脱がせていく。