『SWING UP!!』第11話-72
下校寸前に、かすかに感じていた便意を、それでも無視してしまったことがいけなかった。途中、腹部に襲い掛かってきた猛烈な苦痛に抗えず、桜子は、草深いとある空き地にて、催していたものを全て、野に放った。
盛大で長大なものが、桜子の尻の下に連峰を作った。その頃には既に、180センチに迫る長身で、男子も顔負けなくらいに大食漢になっていたから、それはそれは、見事なまでの、大連峰であった。
『ホッ……』
と、出すものを出したことで、腹痛が治まり、安堵していたのも束の間…。
『あっ、ウ*コだっ!!』
『!?』
無防備になっている背中とお尻に、思いがけない嬌声を浴びた。
『うっわー、すげえ! すっげえ、でっかいウ*コ!!』
声の主は、どうやらこの空き地を“ナワバリ”にしている、少年のようである。
『おい、みんな、こっちきてみろよ!!』
その“ナワバリ”に、一番乗りをしたのがその少年だったらしく、昂奮した様子でその少年は、後から来る仲間たちをしきりに呼びつけていた。
『でっかいウ*コがあるぞ! 早く、来いってば!』
ただ、少年が興味を抱いているのは、お尻を出したまんまの桜子にではなく、その真下に盛り上がった、桜子が出した“ウ*コ”の方だった。この年頃というのは、まあ、そういうものであろう。
『!!??』
桜子は、すぐさまパンツを引き上げ、立ち上がって、脱兎のごとく駆け出した。入れ違いに、4人ばかりの少年とすれ違ったが、おそらく彼らが、この空き地を“ナワバリ”にしているグループなのだろう。
『うっわー、すげえ! でっけええええ!!』
『まじかよ! こんなの、はじめてみた!!』
『キ○グ・ウ*コって、名前にしようぜ!!』
自分が出したものを見て、少年たちがはしゃいでいる。とてもではないが、その場にいられるものではない。桜子は、全力疾走でその空き地を後にして、実家の“蓬莱亭”に駆け込んだ。
お尻を拭いていなかったから、当然ながら、後始末をしなければならなかった。情けない気分を抱きながら、桜子は改めて、汚れたところを綺麗にしたのだった。
「………」
耳のうちに残る、自分の出したものを見てはしゃぐ少年たちの声は、今でも忘れられなかった。それほどに恥ずかしい出来事だったのである。“三大恥”の中でも、最上級といってよい。
そして、その時以来となる、野外での排泄行為は、しかし、後ろにいるのが大和ということもあってか、恥じらいは感じるものの、不思議な安堵感もあった。彼ならば、今の姿を、はやし立てたりしないはしないだろう。
「ん、ふ……」
秘部を顕にした桜子は、その場にしゃがみ込んで、我慢していたものを解放した。
しょろ、しょろ、しょろろろろろ……
と、静かな音をたてて、桜子の股間から、金色の放流がほとばしる。それは地面を穿ちながら、瞬く間に水面を広げ、桜子の足元に見事な新円を描いていた。
「ふぅ……」
催したものはすぐに収まり、安堵の吐息を桜子は漏らす。催した生理現象が、速やかに解消されたので、身体は正直にも、その心地よさに小さな震えを起こしていた。