『SWING UP!!』第11話-26
中学生に進む頃になって、その行為が性的なものを意識させることを知ったのか、隼人は、ぱたりとそれをしなくなった。安堵と同時に、物足りなさを感じた響だったが、まさか“カンチョーして”と言うことなどできるわけもないので、なんとも言えないもどかしさを抱えるようになってしまった。
自身も中学生となり、身長は全く伸びなかったが、その分、骨と筋肉がたくましくなって、それによってエネルギーの消費が激しくなったものか、食べる量が格段に増えた。結果として、排出される“モノ”も比例的に大きくなっていき、また、食物繊維が豊富で健康的な食生活は、そのサイクルも定期的なものとして、響に独特の刺激を何度も与えることになった。
決定的な契機となった出来事は、中学二年の時だった。
珍しく、お通じのサイクルが狂っていた響は、3日も間を空けてしまったことで、重くなった下腹を抱えながら帰途についていた。
『うっ!?』
ところが、“安広寺”に帰り着き、自室に戻るために昇っていた例の“五十階段”の中ほどで、急激かつ猛烈な便意が襲い掛かってきた。
『い、いた……おなか、くるしいっ……!』
それは、これまで経験したことのない、壮絶なものでもあった。
『あっ……!』
ブッ、ブブォッ!!
と、圧力の高まった下腹から押し出されるように、大きな音を発てて、お尻の穴から“汚臭(ガス)”を放出してしまう。
『うあっ……だ、だめぇっ……み、実(ミ)が、でちゃう……!!』
慌てて括約筋を引き絞って、本体であるところの“実(ミ)”が出てしまうのを何とか防いだが、もう猶予はなかった。
『だめ……だめっ……まだ、でちゃ、だめぇっ……!!』
爆発しそうなお尻とお腹を押さえながら、必死に階段を駆け上る。その形相は、普段の彼女の鷹揚な雰囲気からは想像もできないぐらい険しいもので、さしずめ羅刹か般若のようになっていた。
ブッ、ブスッ、ブピッ、ブプゥッ…
『でるっ、でちゃうっ……もれちゃう、もれちゃうぅっ……!!』
響は、少しずつ“汚臭(ガス)”を漏らしながらも、“実(ミ)”そのものの漏出はなんとか堪え、ようやく“東司”にたどりつき、乱暴な勢いで木組みの扉をこじ開け、便器にまたがった。
『ひっ、ひぅっ、う、うぅぅぅ……!』
セーラー服のスカートの中に手を入れて、綿パンツを膝まで引き下ろして、裾をたくし上げて、しゃがもうとした瞬間…、
『! ! !』
ブブッ、ブリブリブリッッ! ……ボトッ、ボトボトボトォォッ!!
『う、あっ、あ、ああぁあぁぁぁ!!!』
我慢の限界を、超えてしまった。“実(ミ)”が、出てしまったのだ。
『あぁ……う……あ……』
綿パンツはかろうじて下ろすことはできた。しかし、しゃがむところまでは間に合わなかった。
迂闊にも、腹筋に力を込めてしまった響は、まさに“暴発”と言うべき勢いで、板敷きの“東司”の床に、我慢していた“実(ミ)”を全部ぶちまけてしまったのである。綿パンツの中に“脱糞”はしなかったが、便器の外に“粗相”をしてしまったのだ。
便槽の中に収めれば、オガクズに包まれた“実(ミ)”は悪臭を放たないはずだったが、床の上に這いつくばった、大蛇のような図体をしたその“実(ミ)”は、たちまちにして汚臭を漂わせた。