夏の1日と彼の優しさ?-33
「ううん、歩いて数分」
そう言いながら歩いていると、2人の前にはご立派な門が見えてきた。そして美咲がその門の前で立ち止まり門の横にあるインターホンを鳴らすと中年らしき女の声が聞こえてくる。
『はい』
「私だけど、門開けて」
『あら、おかえりなさいませ』
ガガガっと開いた門をくぐると、そこにはちょっとした大きな屋敷が建っていた。
大きな門や洋館風の建物に、少し進むと見えるのは小規模の噴水とそれらを囲む色鮮やかな植物や木々。見るからに手入れが行き届いているのが分かるその風景に猛は声もなく見惚れた。
朝から美咲の色んなところを見れた猛にとって、これ以上ない幸せの中でさらに家まで連れてきてくれたこの信頼をどう判断すればいいのか図りかねていた。