夏の1日と彼の優しさ?-3
そして時は同じく、場所は変わって屋上では女子3人が仲睦まじく昼飯を囲んでいた。
「まあそういうわけで、嵐士が貰ったチケット無駄にするわけにもいかないし一緒にどうかな?」
そう言って嵐士と同じ説明をしたのは、肩に着くよりも短い茶色い髪で前髪を可愛らしいハートのヘアピンで留めた少女。美咲と同じクラスで、嵐士の彼女の佐々木棗(ささき なつめ)。棗はくりっとした大きな目で、残りの二人に問いかける。
「私は別に構わないわよ。タダで行けるのならそれを使わない手はないし」
棗の問いかけに先に答えたのは、肩より少し長めのウェーブかかった髪に切れ長の目を持つ櫻井春香(さくらい はるか)。棗とは小さい頃からの幼馴染にして美咲のとは中学校の頃に出会いそれからは無二の親友だ。
春香は昼飯をつつきながら未だに答えを出していない美咲に顔を向け答えを促す。
「美咲は行かないの?」
「うーん…まあ春香や棗とか清水ならいいけど、そこに下鷺君が入るのがね」
眉を顰めながらそう言う美咲に、春香は納得気味に小さく頷いた。
「でも見る限り下鷺くんと一番仲良いのって多分嵐士だよね?そういうのを考えて、少しでもクラスに慣れるようにって考えてるんじゃないかな」
「あの清水が、ね…。そんな気遣い方を覚える前に少しは勉強したらどうなのかしら」
「まあ、嵐士は運動は得意なんだけどね」
呆れ混じりに言う春香に、棗は思わず苦笑いした。その間も美咲はしかめっ面で昼飯をつつく。それを見た春香は棗と目を合わせてどうやって美咲を頷かせようかと各々思案し出した。
「あんた、一応クラス委員長でしょ?だったら清水の気遣い無駄にしない方がいいんじゃないかしら」