夏の1日と彼の優しさ?-14
それから、猛を除く4人は思う存分に遊んでいる。それこそプールに入らないと言い切った猛が少しだけ羨ましくなるほどに。そんな風に猛がクラスメイト達が遊ぶ姿を見ていると嵐士が3人を置いて一人だけプールから上がって猛の元へと歩いていた。
「よう、楽しいか?」
「ああ、結構楽しいぞ」
「…バカ、ただの嫌味だっての」
「知っててそう言ったんだ」
「性格悪いな、お前」
苦笑いしながら猛の隣の椅子に座った嵐士は遊び疲れからふうっと一息ついた。
「あいつら、よくあそこまで遊べるよな」
「それは言えてる。疲れねぇのか?」
「女子はプールで遊ぶのが楽しいんだろうけど、男はそんな女子の水着を見る方が楽しいからな」
「…それ、正しいプールの楽しみ方か?」
「じゃあお前はあの3人の水着を見て何とも思わねぇの?」
「……ノーコメントで」
嵐士の意地悪い笑みに、猛は顔を逸らして答えを避けた。それは暗に嵐士の言葉に賛同するということなのだけど、口で認めるのは癪だったらしい。
会話もそこそこに、嵐士と猛は二人揃って美咲達の笑顔を見て楽しんでいた。その時、3人の様子が変わった。というより、春香と棗の様子が変わっていた。
「…なんだ?」
「おい、行こうぜ」