欲しかったもの・続-1
泰隆のコトはもう忘れた・・
忘れたハズだった!
突然の進展についていけず、彼女がいるのに連絡してきた泰隆に戸惑い、忘れようと繋がりを切ったのに。
時間が経つにつれて頭の中が整理出来た・・・。
彼女がいても、やっぱり私は泰隆が好き。彼女がいても連絡してきた向こうが悪い・・・。未練タラタラだよ。
アドレスを変えたからたぶん彼は気付かない。なんて送ろう!?
んん〜?あぁぁぁぁ!!
うぅ・・
『今更なんだよ!?』とか言われたらどうしよう!?さりげなく、さりげなく! 何度も文字をクリアしているうちに間違えて決定ボタンを押してしまった! 『空だょ〜!?』
すっごぃ気まずい!何か返ってくるカナ。
携帯が光る『誰ですか?』
とりあえず、謝罪・・弁明、そして『逢いたい』
『俺彼女いるけど、今はそれでも平気?俺は正直逢いたいよ。恵のコト忘れられないし』
やっぱり「彼女」は欠かせないのかぁ・・
それでも・・いい。それでも逢いたい。
迎えにきた泰隆は前逢った時より優しかった。笑う顔も話し方もいとしかった。 もうお互い21になったんだねって・・・
『抱きたい』
その言葉に押されるように私は同意してしまった。そのままホテルへ行き私は泰隆に抱かれた。 幸せだった。気持ち良くて、やっとひとつになれた気がして、幸せだった。
その日から私は彼とセフレになった。それでもいいから傍にいたかったの。
それからは仕事が終われば逢いにきてくれた。次の日仕事が休みの日は泊りで一緒にいた。時間がなければクルマの中で。
腐ってもセフレ。どんなに泰隆が優しくしてくれてもセフレに変わりない。
そのうち彼女のコトを少しだけ話してくれた。少し・聞いた。2つ下で、背は私より5cm高い154cmだって。
彼女のコトをどんなふうに抱いてるのかなぁ・・・
一緒にいても、彼女のコトが頭から離れない。彼は私と一緒にいるのに、私が泰隆と一緒にいられない。
(なんで私じゃダメなの?なんで私じゃないの?)
いつもそう思ってた。ケド言えてない。 体はもう泰隆を覚えてしまった。
ケド、私のものじゃない。人様のもの。 いくら幸せを感じても心の淋しさ・虚しさは変わらない。
『私もうセフレ無理・・ もう割り切ってできない。好きなの』電話で済ませた二度目の別れ。
やっぱり手に入らないんだね。一晩中泣き明かした目は腫れあがって外には出れない。休みでよかった。
携帯の着信音が鳴る・・・<泰隆>
『彼女と別れた。これからは俺の女として傍にいて』
私が欲しかったものは6年とちょっとかかってやっと手に入れるコトができた。
後々『遅いんだよぉ!バカ』などと可愛げのないコトを吐き捨てる私ここにあり。
END〜