第一夜-5
やや面倒臭そうではあるが、華月からは先程の獣じみた殺気は一切消え失せていた。
暫く歩くと町の方に出た。華月は立ち止まり繋いでいた手を放すと、おもむろに振り返った。
少年の顔が月明かりに照らされ、華月は思わず息を呑む。
「危ないところをありがとうございました」
琥珀は丁寧に礼を言って頭を下げた。
少々無茶をしすぎたか。やはり琉依に着いてきてもらうべきだったかもしれない。
琥珀が自分の無力さを噛み締めていると、不意に目の前の青年がポツリと口を開いた。
「…飛鳥」