〈囚獣・銭森麻里子〉-25
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「んま……うま……」
次の日。
美津紀はいつもの自分の部屋で、新しい純白のドレスを纏いながら食事を与えられていた。
その傍にはサロトと専務。そのどちらも、満足した表情を浮かべていた。
無表情な美津紀は手づかみで食事を摂り、その汚れた手をペロペロと舐めた。
それでも汚れが取れないと見るや、綺麗なドレスにゴシゴシと擦りつけた。
『ほぉ……すっかり素直な子供に戻りましたなあ』
姉の《最後》の一部始終を見させられた美津紀は、精神の限界を超えてしまい、幼児退行現象を起こしてしまっていた。
自分の意思を示す事も無く、抵抗など微塵も無い。
恥という感情すら忘れてしまった、大人びた肉体を持つ幼児だ……。
『……ところで、お姉ちゃんは本当に薬漬けにしたのか?』
サロトはどうでもよさそうに専務に聞いた。
麻里子の“おかげ”で美津紀は純然たるペットに堕ちたし、新しい便器を与える事で、部下達の日頃の憂さも晴れるだろう。
精神状態がどうだろうと使い道は一つしかないし、今さらあんな女にサロトは用は無かった。
『薬なんて使ってませんよ?あの浣腸の中身は酢酸……ただの薄めた酢ですよ』
身の危険しか感じない極限状態での目隠しは、麻里子に言いようの無い恐怖を与えていた。
火種やクリップの痛みや、強すぎる振動での刺激。
そして排便を耐える事すら吹き飛ばす程の未経験な焼け付く痛み。
見えない事で、全てが得体の知れない責めとなり、その中での強烈な羞恥と下腹部の熱くなる感覚には、さすがの麻里子でも狼狽えていた。
そんな最中であるにも関わらず、不覚にも金髪鬼の遊戯に快感を覚えた麻里子に対して、専務は媚薬の存在を口にした。
「私は絶対に堕ちない!!」
そう固く誓う麻里子であったが、それでも身体は奇妙に疼き、性器は意識から離れていく。
その理由を媚薬の所為と決めつけ、麻里子は快感を認めてしまった。
これは自分じゃない。媚薬の所為だと……。
その誤った《自認》が堕落を加速させ、有りもしない媚薬を感じて肉体は制御を失っていったのだ。
『肉便器のクセにプライドが高いから自滅したんですよ。「自分は悪くない」って思い込んで、格好つけるバカですからね』
専務は吐き捨てるように答え、今も輪姦され続けているであろう麻里子を想像して笑った。
『信じ込ませれば、何だって《薬》になりますよ……』
サロトは感心したように専務を見ながら、美津紀の顔を自身の股間へと近付けさせた……その肉棒はギリギリと反り返っていた。
『お、おぅ!?……そうじゃ、そうやって舐めて遊ぶんじゃよ……』
人間としての感情すら失った美津紀は、サロトの肉棒に舌を伸ばし、美味しそうに頬張った。
喜怒哀楽の“楽”しか残っていない美津紀は、いつも快感を与えてくれるサロトの肉棒を愛しそうに見つめ、むしゃぶりついて離さない……姉の必死の行動は全て潰え、妹を性獣として生きる為の《道具》として消費された……。
《終わり》