生きる術-8
「口、閉じとけよっ!!」
ゼインはダッシュでスランの所まで行くと、思いっきりバスタードソードを振りかぶった。
「だらっしゃあぁあっ!!」
妙な雄叫びをあげて、ゼインはバスタードソードを地面に突き刺す。
ズンッとした手応えの後、布を突き抜けたような感触。
ボコッボコボコボコボコ
ガバッ
バスタードソードが突き刺さった地面が爆発するように下から盛り上がった。
土くれと溶岩石が飛び散り、ゼインの身体をかすっていく。
「チビ!」
盛大に血飛沫をあげたゼインに、スランが声を荒げた。
「チビじゃねぇっ!!」
チビチビ連呼するスランの声に青筋を盛り上がらせたゼインは、バスタードソードの柄を力一杯グッと握る。
「俺はぁ、ゼインだぁっ!!」
怒号と共に柄をグリッと捻り、バスタードソードを根元まで埋めた。
同時に蔦が狂ったように暴れだす。
「きゃわわわわわっ」
蔦に振り回されたカリーは悲鳴をあげながらも、岩にぶつからないように身体を捻った。
戒めが少し緩んでいたので、簡単に身体がすっぽ抜ける。
「カリオペ!!」
吹っ飛んだカリーの落下地点まで走ったスランは、地面激突ギリギリで彼女を受け止めた。
「ナ〜イスキャッチ♪」
瀕死の重症を覚悟していたカリーは、スランの腕の中、笑顔でお礼を言う。
カリーの心からの笑顔を初めて自分に向けられて、スランはぶわっと赤くなった。
「でも、カリオペは止めて」
そんなスランの頬っぺたをカリーは軽くつねる。
「あ〜…気をつける」
スランは照れ隠しにそっぽを向いて安全そうな場所まで移動した。
目の端で2人の無事を確認したゼインは、突き刺していたバスタードソードを勢い良く引き抜く。
ブシャアッ
白い樹液が噴泉のように吹き出し、蔦がビクビクしながら弛緩していった。
そのうちの一本が岩に弾かれて、運悪くカリーとスランの直ぐ脇に激突する。
ゼインに斬られた断面から、樹液を吹き出している蔦が……。
「うぶっ」
スランは咄嗟にカリーを庇い、全身に樹液を浴びた。
本能的に口は閉じたが数滴入った気がする。
ズクン
「あ゛……くそ……」
途端に尾てい骨辺りが疼いて身体が熱くなる。
ザルスの樹液は即効性があり、効き目がキツい。
普通は乾燥させて粉にし、かなり薄めたうえに少量使うだけ。
原液の効き目は半端ない。