生きる術-4
「おとと……」
熟した男女の営みなど小さい子供に見せるようなもんじゃない。
ケイは急いでポロの所へ行き、彼女の手から洗濯籠を奪った。
「重いだろ?持ってくからさ」
濃厚な口づけを交わしている両親を見せないように壁になりながらケイはポロを促す。
〈もうちょっと…見てたいな……〉
「いやいや、じっくり見るもんじゃ無いって……」
小さな声にケイは苦笑いして答えた。
〈「……………」〉
違和感を感じた2人はゆっくりと止まり、お互いにぎこちなく顔を合わせる。
「……話した?」
〈……聞こえ…ました?〉
顔を合わせたままの2人の表情が見る間に驚愕へと変わった。
〈「ええぇぇ?!」〉
2人は同時に叫び声をあげたが……傍目から見たらケイが1人で大騒ぎをしているだけだった。
その頃、火山への道を進んでいたゼイン達3人は……。
「あっつぅ〜…」
ムシムシした暑さに耐えかね、カリーは服を指で引っ張って胸元に空気を入れる。
「確かに……こりゃあ暑い……つうか、熱いわ」
ファンの守護神オーウェンに死火山にされたらしいが、溶岩はまだ存在していた。
何故なら、完全に死火山にすると長年地熱を利用して作られてきた作物が育たなくなるし、ファンの環境自体が激変してしまう。
噴火はしないが死火山……半死火山といったところだろうか。
それゆえ、火山自体に登るとなると地熱が半端ないのだ。
「どっかで休憩いれたが良いな……ノッポ、休めそうなとこ見えねぇか?」
「誰がノッポだ。このチビ」
ゼインに問いかけられたスランは表情を変えずに言い返し、周りを見渡す。
「後、10メートルぐらい行ったとこに窪みがあるな……そこまで行きゃ休めそうだ」
「おし、そこまで頑張っか」
3人は奮起して歩みを進めるが、かなりの登り坂なうえに溶岩石がゴロゴロしている山道。
足だけじゃなく両手も使ってのロッククライミング状態だ。
10メートルの道のりがやけに遠い。
やっとこさ窪み地に辿り着くと、そこは浅い洞窟になっていた。