生きる術-16
「大丈夫だよ。姫様はオンオフの使い方が上手なんだ……まあ、初めて素を見た時は俺も引いたけどね」
まさか自分の国のお姫様が俺俺姫だなんて……ちょっとショック。
ケイは肩をすくめてポロに笑う。
魔導師と姫様はいきなり話だしたケイに怪訝な表情をみせた。
「あ、そうか……昨日、ポロの声っていうか思念みたいのが聞こえてさ……」
「へぇ〜…」
「問題はポロの考えている事が俺に筒抜けってとこ。どうすれば良い?」
これじゃポロが可哀想だ、とケイは困った顔をするがポロは気にしないと首を横に振る。
「ケイは魔力の使い方が下手だからなあ……耳に薄い膜を貼る感じでやってみ?」
魔導師にアドバイスを受けたケイは意識を集中してみた。
パァンッ
結果は、ケイの耳から破裂音と共に花吹雪が舞い散るという笑えるもの。
「下手くそ」
「あう……練習します……それまで我慢な?ポロ」
ケイは耳の中に残った花吹雪を掻き出しながら、情けない顔で謝る。
「で?何で睨んでたんだ?」
ずれまくった話を姫様が軌道修正し、魔導師がそうだったとポロに目を向けた。
「触られるのが苦手っつうから触らずに枷の構造を探ってた」
エンは枷に魔力を流して探っていたが、どうやらポロを気遣って、触らずにしてくれたらしい。
魔導師は見た目より優しいみたいだ……だが、やはり金色の目は怖い。
ただ怖いじゃなくて畏怖……魂レベルで格の違いがある感じがするのだ。
「で、探ってみた所その枷は意外と簡単に外せる事が分かった。但し、順番がある。まずは左手、右手、左足、首、最後に右足だ」
その順番で魔力を流しつつ、枷にかけられている魔法を解除すれば良い。
「ただな……エンも言ってたんだが、かけられている魔法が『封印』なんだよな……」
魔導師は難しい顔で顎に手を置き、指でトントン叩く。
「問題が?」
問いかけるケイに魔導師は息を吐いて答えた。
「枷に魔法をかけるなら普通は『鍵』だ。簡単に外れないようにとか、決められたスペースから出難いようにする魔法」
3人は魔導師の話を頷きながら聞く。