第二章 破綻の夜-2
「ねぇ、コウイチくん」
揺すり起こされ目が覚めた。
記憶が欠けたみたいになっていて、そこが叔母の家であることを思い出すのに時間がかかる。
「ああ、・・そうか・・」
目の上へ腕を乗せ、深く溜息を吐く。
「そろそろ買い物にでかけなくちゃならないから、いい?」
利江は言った。
シーツには確かに、叔父の臭いが染み着いていた。
僕は辟易し、その臭いと夢の余韻を振り切るようにして、重い頭を揺すった。
ベッドの端に腰かけた利江は、既にショーツを穿き直していて、背中に回した手でブラジャーのホックを嵌めている。僕は腕を伸ばし、彼女の背中を抱き締めた。
「変な夢見た」
華奢な母と比べ、二回りは大きな利江の背中。
汗ばんだ丸い肩を、裸の胸に抱き寄せながら、少し疲れた彼女の頬に唇をつける。
「ねえ、もう一回・・」
僕は手を、着けたばかりのブラジャーのカップへ滑り込ませた。
掌が覆う叔母の柔らかさ。母のとは違う、しっかりとしたボリューム、汗の感触。
「さっき2回もしたでしょ。オバサンもう限界・・」
言いながら、肩越しに唇を合わせてくる。
僕を宥めるためのお愛想のキスと、解ってるけど僕は引かない。
唇の合間へしっかりと舌を潜り込ませ、根本から捉えて捏ね回し、乳房を揉み搾る手と逆の手をショーツの中へ素早く突っ込む。
「万引きのこと、黙ってて欲しいんでしょ?」
耳元に囁く。言葉が口をついて出た。
思わぬ言葉に自分が一番驚いて、恥ずかしくなって彼女の首筋に顔を埋める。
自己嫌悪。あまりに滑稽なその表現。
それではまるで、叔母を繋ぎ止めておくための手段がそれしかないと、自分で告白しているようで嫌になる。
たったそれだけのことで萎えてしまいそうになる自分が更に腹立たしい。ヤケクソのように舌を出し、叔母の耳の穴潜り込ませ、そこを唾液で満たしている自分。
ふくよかな腰を覆って張り詰めた布の中、既に乾いている恥裂を指で割ると、拭いきれない愉悦の名残がドロリと溢れ出して僕の指を包み込んだ。
「中はこんなになってんじゃん」
わざと下卑て言う言葉にも、覇気がない。
「ああ・・もう、だめよ・・」
それでも艶っぽくなる叔母の表情。
若いというのはそれだけで罪深いことなのか、少し眠ったことで頭が切り替わったらしく、僕のペニスにもまた新たな血が通い始めた。