第6話-8
一度、圭輔は顔を上げて、戸惑いに揺れる英里の瞳を見つめる。
「…英里はさ、俺のモノ受け入れてくれる時汚いって思う?」
英里にとっての圭輔を迎える瞬間…
彼が自分の中に入ってくる時は、少しの不安と期待と、そして自分の隙間を埋めてくれる幸せを感じる。
「汚いなんて思うわけ…」
圭輔の問いの趣旨がわからない英里は、躊躇いがちに答えた。
「なら、俺も汚いなんて思うわけないだろ?英里のここは、すごく綺麗だ…」
そう言い終えると、圭輔は壊れ物を扱うかのようにそっと優しく花びらを開いて、その中にひっそりと息づく花芯に舌を近付けた。
「っ、あぁっ…!」
柔らかい舌が蠢く度、英里の細腰がびくびくと跳ねるが、圭輔の力強い腕にがっちりと掴まれていて逃げる事ができない。
こりこりとした感触の敏感な部分を舐めると、愛液がどんどん溢れてくる。
突起全体を口に含み、圭輔は上唇で器用に皮を剥いて、紅い実を露出させる。
剥き身になったそれを舌で何度も擦り、吸い上げると、英里のまるで泣き叫んでいるかのような甲高い声が部屋に響く。
英里は尚も逃れるように身を捩るが、ざらざらとした彼の舌は常に的確に、彼女の花芯を責める。
捕らえられた下半身は身動きが取れない分、上半身を揺する度に枕の上でさらさらと揺れ動く黒髪が、何だか艶かしい。
堅く尖らせた舌先を秘孔に差込むと、粘度のある愛液が中からじくじくと溢れ出る。
圭輔は彼女の味をじっくりと味わうかのように、ゆっくりと舌を出し入れする。
「やぁっ、もう、やめっ…んっ、ぁっ…」
舌で抽送をする度に、彼の鼻先が敏感なままの尖った突起に触れて、英里は息が詰まりそうになる。
鋭い快感が、下半身を中心に、体全体に波及してゆく。
きっと、今ならどこを触られても、体が反応してしまう、それ位過敏になっていた。
だんだん痙攣の間隔が短くなっていく。
下腹部を中心に、体内に渦巻いている快感が収斂し、出口を探しているようだ。
それが極限に達した時、思わず英里は足の間の彼の頭をぐっと掴んでしまう。
びくびくと体が震え、弓なりに体を反らせながら、英里は激しい絶頂を迎えた。
達した瞬間、きつく頭を太腿で締められたが、徐々に彼女の力が緩んでいくと、圭輔はゆっくりと顔を上げて、手の甲で口を拭う。
あまりにも強烈な体内の奔流に、英里は暫く茫然自失状態で声も出せなかった。
白い光が脳内で弾けて、まだチカチカと閃いている。
はぁはぁと大きく息が弾むリズムに合わせて、彼女の胸がたわわに揺れる。
その様子が愛しくて、圭輔は彼女の汗が滲んだ額に、優しく口付けた。
「ご満足頂けました?」
至近距離でにっこりと微笑んだ、相変わらず余裕綽々のこの表情が、してやられたようでとても悔しい。
実際、これに関しては彼に全く及ばないのだから仕方ないのだが、
「…もう、十分に…」
英里は息も絶え絶えに、何とかそう答える。
頭の中が霞掛かったように朦朧としていて、まだ皮肉を言えるような状態ではなかった。指先から足の爪先まで、僅かでも動かす力すら出ない。
「それは良かった。でも、本番はこれからだから」
痛い程に昂ぶった彼自身が、早く解放して欲しがっているかのように屹立している。
それを視界の端で確認しながら、英里は頷いた。
達したのは自分だけ。彼はまだ、満足してはいない。
「今日、抑え利かなくなったら、それは英里のせいだって、言ったよな…?」
そう、甘い声で囁かれる。
私は、何も悪くない。そう反論しようにも、彼女にはそんな体力も気力も残されていなかった。
圭輔はもう一度彼女の足を開き、ベッドの上に膝立ちになって自分の体を割り込ませると、彼女の両脚を自分の肩に掛ける。
彼の顔の隣から伸びる、すらりと細い彼女の足に口付けると、
「英里が、可愛すぎるせい…」
彼女に聞こえるか聞こえないかという位の小声で呟いた後、彼女と自身を繋ぐ入り口に、熱く滾った楔を宛がった。
艶を含んだ、英里の嬌声が圭輔の鼓膜を心地良く震わせる。
彼女の最奥まで、自身を届かせるかのようにぐっと力を込める。
熱くて堅い、彼の肉棒が、どんどんと彼女の中を進んでいく。
ある程度彼女の中へ入ると、ゆっくり抽送を開始する。
腰を動かす度に、離れるのを名残惜しむかのように襞が絡みつく。
その締め付けが齎す快楽に、圭輔は軽く息を吐く。
はちきれんばかりに勃起した彼自身を最初は浅く出し入れし、馴染んでくるともう少し深くまで突き立てる。
この体勢だと、2人の結合部が丸見えだった。
興奮で、すっかり赤く熟しきったそこは、濡れ光ってまるで喜んでいるかのように彼のモノを咥え込んでいる…淫猥な光景。
彼女が羞恥のあまり顔を背けようとすると、圭輔は少し高く彼女の足を上げ、よりその部分を見せ付けるかのようにする。
「やだ…っ」
ぎゅっと、英里は目を瞑る。その仕種が可愛らしく、圭輔は口元だけで、ふっと微笑んだ。
圭輔の恥骨が敏感すぎる突起に擦れて、英里は甘い声を上げた。
もう、つい先程までの羞恥心も薄れ始めて、体を貫く快楽に全ての意識を浚われそうになる。
突き上げる度に、ベッドのスプリングが跳ねて、ギシギシと音を立てる。
少し強く力を込めて突くと、バネが英里の体をますます跳ねさせる。
わざと、彼女の体を上下させるかのように、ゆっくりと、しかし奥深くまで捩じ込むように、腰を動かす。
それが何度も続くと、さすがに英里も彼の悪戯に気付いて、何か言おうとするが、跳ねて上手く喋れない。下手に口を開くと、舌を噛んでしまいそうだ。
これ以上大きく体を揺さぶられないよう、仕方なく、頭の下の柔らかすぎる枕をぎゅぅっと両手で強く掴み、できるだけ上半身をベッドに深く沈みこませる。
当然、そんな彼女の頭の中は、まともに喋れるならば口に出したい罵詈雑言で一杯だ。