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光の道
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月の光と都会の光-6

ベッドに入ると一気に疲れが出てくる。
今日一日を思い出す。
正直、空港ではびっくりした。
こんなとこで片桐に会うとは思わなかった。
一瞬わからなかったが、声を聞いてピンときた。

「どうしても忘れられなかったの」

さすがに困った。
今更言われてもな。

別れたときはかなり凹んだ。
忙しいながら、俺はうまくやれていると思っていた。
片桐が他の男と会ってることなんて知らず。

あの時、何だかんだでほぼ毎日一緒にいたのが由梨だった。
恋愛どうこうじゃなくて、ゼミの仲間で、妹みたいで、気兼ねなく楽しく一緒につるんでた。
それでも俺の中では片桐だけだった。

別れた後は今までと変わらず由梨や、ゼミのメンバー、バイト仲間と一緒にいる内にだんだん吹っ切れていった。
由梨は支えてやろうとか思ってないんだろうが、俺は由梨に支えてもらって、助けてもらったと思ってる。
気楽に付き合えて、楽しかった。
この時、気づいたら俺はもう由梨しか見えてなかった。


ゼミでも由梨はモテた。
聡が告白して、付き合い出したときは凹んだ。
でも、不思議だが、心から祝福できた。
それでも一番近くにいるせいか諦めきれなかった。
きっと由梨が結婚するまでは無理なんだと思った。

でも聡が浮気して、偶然にも別れる瞬間に立ちあって…
あの由梨の傷ついた顔を見たときは、本気で聡を殴りそうになった。
由梨は気丈に振る舞っていたが、かなり凹んでいた。
だから、次は俺が由梨を支えてやりたいと思った。
片桐には申し訳ないが、ホントに俺はもう由梨しかいないと思ってる。

最後、正直に由梨のことを話すと片桐は笑いながら言った。

「由梨さんのことは最初からわかってた。ただ、ひょっとしたら振り向いてくれるんじゃないかと思ったの。大輔のことを好きな気持ちに嘘はなかったし、忘れられなかったのも本当よ。ホントにごめんね。由梨さん、あと一押しなんじゃない??頑張って。」

片桐は最後に背中を押してくれたが…
ホントに一押しなんだろうか??
隣を見ると口を開いて眠る由梨がいる。
この緊張感のなさから、どう自信を持てというんだ…



あと、申し訳ないのは高橋さんだ。
結局片桐のフォローをしてもらっている。
ホントにいい人で、芸能人なんて感じがしない。
本職はデザイナーだっけ??
でも芸能人に会えて、しかも飯まで食えるなんて思いもしなかった…

ただ、確実に高橋さんも由梨に惚れてると思う。
なんというか、由梨を見る目が違う。
特にさっき帰り際に言おうとしてたのは明らかに由梨への誘いだ。
少し焦って邪魔してしまった。
申し訳ないよな。
高橋さんは笑ってたけど、邪魔したのに違いはない。

由梨と高橋さんはかなり親しく見えた。
波長が同じというか、雰囲気が似ていると思う。
由梨には意外と高橋さんみたいな人がいいのかもしれない…
でも、できれば俺を見て欲しいと思う。

隣で由梨が寝返りをうつ。
手がすぐ近くまでくる。
そっと握る。
頼む、俺を見てくれ。
そう思いながら眠りについた。




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