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インスタント・ラバーズ
【痴漢/痴女 官能小説】

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饗宴の夜-1

 休日前の夜というのは、大抵の人なら開放的な気分になるものだ。
 歩いていると、すれ違うスーツを着たサラリーマン達の表情は一様に和やかに見える。
 これから同僚を誘って、飲み会にでも行くのだろうか。
 あるいは、恋人と一緒に食事でもと考えているのだろうか。
 家族と旅行の予定を立てている者も居るのかもしれない。
 わたしの場合は、そのどれでもなかったが、やはり開放的な気分は同じくしている。
 そして、そのどれでもない男たちに、わたしは用事があった。
 どこにも所属していない男たちと、一夜限りのパーティを開きたい。
 そう思いながら、わたしはいつもの姿、黒スーツに黒のタイトスカートで街を徘徊していた。

 街外れにぽつんと佇む、コンビニエンスストア。
 辺りは暗く、この店の明かりが駐車場をほんのりと照らしている。
 その駐車場の、一台の車がわたしの目に止まった。
 かなり使い古された黒のスポーツカーは、ところどころ改造されているようでゴテゴテとしたフォルムで、あちらこちらにぶつけたような傷跡もあった。
 こういう車のドライバーは、だいたい想像がついてしまうものだ。
 若くて、髪を染めていて、ちょっと悪そうで、少し強面で。
 そして、まったく想像どおりの二人の男が、車止めの縁石を椅子代わりに浮かない顔をしてしゃがみ込んでいる。
 
 一人は金髪で、仕事の作業着だろうか、濃紺のツナギを身につけた強面の男だ。
 もう一人は服装は同じで茶髪をしている。
 金髪の男より顔は柔和であどけなく見えた。まだ十代なのかもしれない。
 よく見れば、金髪の男も強面ながら、どこか背伸びをしているような若さを感じる。
 二人は、縁石に座ってタバコをふかしていた。
 何をするでもなく、週末夜のコンビニの駐車場で二人の男が身を寄せ合っている風景は、なんとなく哀れを誘うものがある。
 
 こういういわゆるガテン系の男性は、案外と女性には不自由していなかったりする場合が多いが、彼らからはあまりそういう雰囲気が感じられなかった。
 有り体に言うと、ただひたすら暇なのだろう。
 若く頑強な肉体を持て余しながら、虚しく週末の夜を迎えている。
 それなら、わたしが彼らと一緒に夜を過ごしてやろうか。
 彼らのリアクション次第だが、いい夜が過ごせるかもしれないわよ――――


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