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インスタント・ラバーズ
【痴漢/痴女 官能小説】

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グッド・モーニング-15

 男性がたっぷり出した精液を、ウェットティッシュで股間から拭っている。
 拭っても拭っても、溢れてきた。まったく、どれだけ溜め込んでいたのだろうか。
 女に縁がなさそうに見えたのは、わたしの勘違いではなかったようだ。
 膣内射精をされることについては、避妊薬を服用しているので、基本的には問題ない。
 むしろ、病気の方が怖いので、女に縁の無さそうな男を選んでいるというのもあった。
 無論、わたしはこういう”趣味”なので、定期的な検査は欠いていない。

「その、僕、あなたの中に、いっぱい出しちゃって……」
「……いいのよ。そういう風になっちゃったんだもの。わたしのせいでもあるし」

 男性の一人称が俺から僕に変わっていた。わたしの呼称も、お前からあなたになった。
 本来は、真面目な男性だったのだ。
 わたしの”趣味の時間”に巻き込まれて、その時間だけ彼は野性的になったのかもしれない。
 いっぱい欲望をわたしの体内に吐き出して、すっかり素に戻っていた。

「何かあったら、僕は責任をとりますから」
「責任? お金とか、結婚とか? フフ、可愛いこと言ってくれるのね。でも、きっとその心配には及ばないから安心して」

 男性は薄々感づいているようでもあった。
 この一連の行為が、わたしに仕組まれて誘導されていたということをである。

「あなたの、名前を聞いてもいいですか?」
「……カオリよ。お兄さんは、タナカ君だったわね」
「カオリさんに、また会えますか?」
「タナカ君、これはね、今日一日だけわたしとあなたが見た夢なのよ。夢の世界のお話」
「でも、僕は」

 お互いを貪りあったあの瞬間に、わたしは彼を愛していたかもしれない。
 おそらく、彼も。
 そしてそれは、あの瞬間だけだということを、彼は勘違いしてしまっているのだ。
 わたしは、あのほんの一瞬の愛だけで十分だ。
 普通の恋愛は、わたしには重すぎた。わたしは、あくまで変態の痴女でしかない。

「……ねェ、タナカ君、まだ時間あるかしら?」
「え、さっき、電話入れましたから、もうしばらくなら」
「そう……あのね、わたし、一度だけじゃ、足りないわ……」
「えっ?」

 わたしはまだ裸のままだった。彼も下半身はそのままだった。
 わたしの言葉で、放出して縮んだ彼のものが、一気に膨張してきた。

「あなたの服、そこの床に敷いてくれる? 立ったままじゃ、疲れちゃうでしょう」
「は、はい……!」

 彼の敷いた服の上に寝そべって、思い切り足を広げる。
 今度は裸で抱き合って、あの至福の時を味わいたい。
 わたしには、それだけでいい。このわずかな間だけの、濃厚な関係。
 彼が勃起を揺さぶりながら、息を荒くしてわたしの上に覆いかぶさってくる。
 駐車場の冷たい上壁を見つめながら、わたしは彼の腰に足を絡めて、蜘蛛のように男の体を貪ろうとしていた。



−SIDE-A・完−


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