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インスタント・ラバーズ
【痴漢/痴女 官能小説】

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饗宴の夜-2

「こんばんは。いいクルマ、持ってるのね」

 わたしは何食わぬ顔をして、何か恵まれていないような、その二人組に話しかけてみた。
 金髪の男は、誰だコイツ? とでも言いたげななんとも愛想のない顔でわたしの顔を見やった後に、茶髪の男と顔を見合わせる。
 その後、茶髪の男は、温厚そうな笑みを浮かべてわたしに答えた。

「ハハ、こんなのオンボロっスよ。いいクルマなんて、とてもとても」
「おい、フザけんなよ。これでも百万は出してんだよ」

 茶髪の男が皮肉っぽく言うと、心外だったのか金髪の男がそれを遮るように答えた。
 
「若そうなのに、奮発したのね。スピードは、出そうじゃない?」
「スピードだけはそこそこッスかね。ま、乗せて遊ぶオンナもいないんスけどね」
「うるせぇよ。だいたい、これはお前のクルマじゃねぇんだよ。勝手なこと抜かすな」

 茶髪の方は、わりと好意的な態度でわたしに接している。
 少し大きめのややあどけなさの残る瞳で、わたしにニコニコと笑顔を見せていた。
 金髪の方は厳しい顔を崩さずに、わたしの方を見ようともしない。
 
「へぇ〜、二人とも彼女、いないんだ?」
「いないいない、いないどころか、今までにいたことが無いんだから情けないッスよね」
「え、いたことが無いってことは」
「ハハ、ドーテーッスね、ドーテー。笑うしかないっスよ」
「こら、見ず知らずのオンナにどこまでベラベラ喋るんだよ!」
「だって本当のことだし。イテッ!」

 金髪の男が少し恥ずかしそうな顔をして、茶髪の頭をポカリと殴った。
 茶髪の男は、ニヤけた表情はそのままに頭を撫でさすっている。
 しかし、女に縁が無さそうだとは思ったが、まさか二人とも童貞だとは……。
 この二人をわたしの”趣味”に付きあわせてしまっていいものか。
 女に縁がありそうな男は、わたしの場合、むしろ願い下げだった。
 そういう意味では、彼らはわたしにとって好都合なのかもしれない。
 しかし、童貞二人か……。今まで、その組み合わせは経験したことがなかった。
 そういう二人に貪られるのもいいかもしれない。
 特に、金髪の男の女に対する耐性の無さのようなものが、なんとなく気に入った。


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