グッド・モーニング-9
「お前、それは」
「それって……分からないわ」
「陰毛、剃ってんのか。ツルツルじゃねえか」
「ああ……わたしの彼に、そうしろって言われて」
「彼だぁ……? このスケベ女が! おう、こっちに来いよ」
「だ、駄目よ、裸になったでしょう? もう、これで……」
「馬鹿言え、これからじゃねぇか。それに、お前……そこ、濡れて……?」
「イヤッ!」
わたしは、自分の無毛の股間を手で隠した。
彼にされたというのは、作り話だ。その方が、相手の男性が奮い立つ気がするのだ。
陰毛を剃られているような女を寝とってやる。
男にとっては、それはある種の夢のような願望なのかもしれない。
男性は、やおら全裸になったわたしに近づくと、股間の前にしゃがみ込んだ。
そして、股間を隠すわたしの手を剥ぎ取ろうと掴んでくる。
「ダメ……ああ、駄目よ。それは、許してェ……!」
「男に剃ってもらうような女が、見られるくらいどうってことないだろう?」
いくらか堪えてみたが、腕力で男には敵わない。
わたしの手は、男性の手に力任せに股間から追いやられてしまった。
一瞬、天井を向いて息を吐き、わたしは体を震えさせた。
寒いからではない。
やはり、男に秘所を見られる瞬間というのは、独特の興奮と開放感を感じるのだ。
しかも、全く知らない男に見られている。この、普通でない状況がたまらなかった。
体の芯から、充実した何かが湧き出してくる気がした。
股間に生暖かい空気の流れを感じるのは、男性が至近距離でまじまじと見つめているからだ。
その空気の流れが少し急になった時、男性はおもむろに手を股間に伸ばしてきた。
「やっ! イヤッ!」
わたしは少し身じろぎすると、男性が動くことが出来ないように手でわたしの腰を掴んで固定した。
見られるだけだったのが、はじめて素肌に触れられて、わたしは声を出しそうになった。
とても、気持ちがいい。もっと、触って欲しい。
男性の手が腰からももを撫でるように動きだした。