幼馴染のお姉さん-14
恐らく戻ってくるとは思うが、居なくなると物凄く不安になってしまう。もしかしたら、
ずっとこのままなのじゃないのかと。
「ばいば〜い」
「春香さ――――――んっ!」
バタンと部屋のドアが閉められる。そして取り残された全裸の男(鎖で繋がれた)。
「色々と言いたいことはあるけど、とりあえず理不尽だろこれ」
頬に涙が伝うのを感じながら俺は春香さんが帰ってくるのを待ち続けた。
全裸で二時間近くも――
「はふぅ〜サッパリしたわ〜。和樹くんはちゃんと大人しく待ってたかしら〜?」
「………………」
「あ、あら〜和樹くんの反応が薄いわね〜。一体、どうしたのかしら〜?」
「……さ、寒い……」
部屋の中とはいえ、二時間も全裸で過ごせば身体も冷えてしまう。
「あらら〜寒いのなら着替えればよかったのに〜」
「それは無理ですって」
あなたが俺を鎖で縛るから、クローゼットまで到着できなかったんですよ。そして、ベ
ッドはベッドで激しいセックスのせいで色々と布団とか飛んでいってるし。
何も身を守る物がなかったんですよ!
「それは悪いことをしたかしら〜」
ええ、充分悪いことをしてますよ。ですから早くこの鎖を解いてください。
「う〜ん、後、一時間くらい待ってね〜」
「な――っ!?」
「一応〜そういう約束でしょ〜? だから和樹くんはキッチリ三時間拘束されないといけないの〜」
「風邪を引いたらどうするんですか!?」
正直、今の段階で少し風邪を引いてるような気がするんですけど。
「もし風邪を引いたら〜その時は私が看病してあげるわよ〜」
「今ならまだ、間に合うと思うんですけど……」
事前に風邪を引くことを回避出来るのなら回避した方がいいと思いませんか?
「お仕置きはお仕置きだからね〜我慢してね〜?」
「マジですか?」
「マジですよ〜♪」
どうやら本気で後一時間は解放してもらえないようで、俺は必死になって一時間寒さに耐えた。
そしてその結果は――
「予想通り、風邪を引いてしまった」
あれで風邪を回避するなんて不可能だったんだ。引くべくして俺は風邪を引いた。そういうことだろ?
「ごほ……っ、けほっ、あ゛ーマジで風邪が辛い」
何で俺がこんな目に合わないといけないのだろうか? やはり、一足先に射精をしてし
まったのが全ての原因なのだろうか?
あと少し、あとほんの少し耐えることが出来ていたら――
「終わったことの可能性を考えても意味がないか……」
もう過去に戻ることは出来ないし、今はどうこの風邪を治すかの方が先決か。
「うぅ……寒いよ。辛いよ」
春香さんは今頃何をしているだろうか? 俺に風邪を引かせておいて、見舞いにも来な
いなんて薄情じゃないか。
「春香さんのバカ……」
「む〜人のことをバカって言ったらいけないのよ〜」
「うわっ!? は、春香さん――っ!?」
さっきまで居ないはずだったのに、いつの間にこの部屋に入ってきたのだろうか?
「あのね〜私だって和樹くんのことを心配してたのよ〜だから、こうやってお見舞いにき
たわけだし〜」
「春香さん……」
お見舞いに来てくれたのは正直嬉しい気持ちがあるが、如何せんその姿が納得いかない。
「一応聞きますけど……その格好は何ですか?」
「何って〜ナースに決まってるじゃない〜」
「いや、そういうことを聞いているんじゃないんですけど」
俺が聞きたいのは何でナースの格好をしているのかということで……
「看病っていったらナース服でしょ〜? それに〜和樹くんも〜ナース好きでしょ〜?」
「……ぐ」
確かに、確かに嫌いじゃないけど! でも、凄く複雑な気分だ……
「そういうわけだから〜今日はお姉さんがキッチリと看病してあげるからね〜」
物凄くやる気の春香さん。でも春香さんには悪いけど、嫌な予感しかしないんだよね。
普通の看病をしてくれないような予感。そんな予感がビンビンとするんだ。
「さて〜まずは水分補給が必要よね〜」
そう言って飲み物を用意してくれる春香さん。あ、あれ? もしかして案外普通に看病
をしてくれるのか?
「さ〜ゆっくり飲むのよ〜」
「あ、はい……」
「じゃ〜今度は身体を拭いてあげるわね〜」
「ど、どうも……」
本当に普通の看病をしてくれる春香さん。格好は非常におかしいが、やっていることはまともだ。
「ねぇ〜和樹くん。何かして欲しいことはあるかしら〜?」
「して欲しいことですか?」