活き作りにされた日-6
ドアが開いた。
強田の手には、さっきまでわたしのからだをグロテスクな姿勢に縛り上げていたロープがあった。
「へへへ、縛りってやつをいっちょうやってみようかい」
わたしは自分の顔が一瞬のうちに蒼ざめるのがわかった。縛られるつらさは体験したものでないとわからない。しかも強田ははじめてみたいだ。どこをどんなふうに縛られるかわかったもんじゃない。下手をすれば関節が外れ、首にロープがかかって窒息してしまうかもしれない。
いやだ。いやだ。こんな場所で恥辱まみれになっていじめ殺されるなんて。
「わ、わかったわ。なんでもする。でも、縛られるのはいや!」
わたしは涙ながらに哀願した。わたしの涙とバルトリン腺液の分泌量は普通の女の人の倍じゃきかないだろうと思った。
結局、わたしは縛られてしまった。
腕を後ろ手に縛られたうえに上半身を便器カバーごと後ろの水タンクにぐるぐる巻きにされた。両ひざから引っ張ったロープが水タンクにつなぎ止められ、足を無理にひらかされた姿勢そのままに固定された。
ごていねいに、猿ぐつわまで噛まされていた。
「ううううう‥‥」
苦しいポーズに縛り上げられて、わたしはからだじゅうの力が抜けてしまっていた。
「ほんとうに関節が柔らかいなあ。いつも、無理やり変なポーズを強制されたり股を拡げられたりしてるからこんなになっちゃったのか?」
縛り終えたわたしのからだを眺めながら、感心したように強田が言った。
「あそこが盛り上がっちゃって、口を開けてるぜ。いやらしいなあ」
わたしの露出しきった恥ずかしい部分を撫で回しながら、強田が言った。馬鹿にした口調だった。
「そうだ、自分でも見てみたいだろう?」
いいことを思いついたといいたげな口調でそう言うと、強田はトイレから出ていった。わたしのマンションなのに強田は勝手になにかを探し回っている。
いったいなにをやる気だろう?
「へへへ、これだよ」
強田が持って来たのはキャスター付の姿見だった。これで、わたしの屈辱的なポーズを映し出してわたしに見せつけようというのだ。
「ほら、見えるかい?」
姿見の中に、哀れなわたしの全身が映っていた。みじめに股を開かされ、痛々しい肉色の陰部がひだまであらわになっていた。
さるぐつわを噛まされた顔が恥辱にあえいでおり、すべてをあきらめた目がうつろにわたしを見ていた。
「へへへ、どうだい? 見ちゃいられないだろ? 見られたザマじゃねえよな」
強田はわたしの頬をつかんで、ぐったりしたわたしの頭を持ち上げた。
「え? なんとか言ってみろよ」
強田は唾液が染みたわたしのさるぐつわを取った。
わたしの声は自分でもいやになるくらい痛々しかった。
「どうして? どうして私はここまでいじめられなければならないの? なにも悪いことしてないのに」
それは、たえがたい凌辱を受けたあとにいつも感じる疑問だった。