活き作りにされた日-12
「この縛り跡はおれがやったものじゃないぞ」
それから、わたしの恥ずかしい部分を押し開いて指を這わせた。
「やっ、なんだ? 肛門がガバガバに開いちゃってるじゃないか。畜生、強田のやろう、人のものだと思って、メチャクチャやりやがったな」
強田はいなかった。失神したわたしをそのままにして、黒崎が帰ってくる前に帰ってしまったのだろう。
黒崎の顔を見上げているとなぜか涙がこみ上げてきた。
「なんだ、泣いてるのか? そんなにつらかったのか?」
黒崎は全裸のわたしに寄り添うように横になった。
「ひどいことしちゃってごめんよ。でも、あの強田って男はああ見えても土建屋の社長でね、新しい店を造るのにすごく世話になったんだ。ないがしろにはできなかったわけさ」
黒崎は自分の商売上のことでずいぶんわたしを利用している。今回のことだって、最初からわたしが取引の材料になっていたに違いないんだ。
そんなわたしの考えを見透かしたように、黒崎はわたしの首に腕をまわし、わたしを抱きしめてねちっこいキスをした。
「ああん‥‥」
「ほら機嫌を直してくれよ。そうだ、今夜はなにか旨いものでも食いに行こうか。昨夜からまともなもの食ってないだろ? そうだな、うんとふんぱつして、鯛の生き造りなんかどうだ? 舌がとろけるぞ」
わたしはあわててかぶりをふった。
「いいえ、生き造りはもうたくさん」
「了」