第3話 陵辱の始まり(前編)-4
「ほぉ〜、そうですか。これは、奥さんではありませんでしたかぁ」
紗希が否定しても、蛇沼の態度は変わらず、むしろ面白がるような口調になった。
「とっても奥さんに似ていると思いますけどねぇ〜。ほら、これなんか、そっくりじゃないですかぁ」
からかうように言いながら、蛇沼は、顔がアップに写った写真を紗希の目の前に突きつけてくる。
「知りません……私ではありません……」
紗希は震える声を絞り出した。
目の前の写真も、ニタニタしている蛇沼の顔も見るに絶えず、紗希は顔を背けてしまう。
「そうですかぁ。じゃあ、人違いですかねぇ。では、これは誰なんですかねぇ」
思わせぶりな態度の蛇沼。
「奥さん、すみませんでしたね。変な物、見せちゃって。私はこれから、これが誰なのか、近所の人に聞いてみますよ」
そう言い残し、立ち去ろうとした。
「えっ?あの、ちょっと……」
紗希は、慌てて蛇沼を呼び止める。
「何か?」蛇沼がとぼけた顔で振り返った。
「いえ、その……」
「何ですか?私もヒマじゃないんですけどねぇ」
普段からヒマそうにしているくせに、しゃあしゃあと言う蛇沼。
「その写真……」
「これが何か?」
「近所の人に見せるんですか……?」
次第に追い込まれていく紗希は、探るような、力のない声で尋ねるしかなかった。
「ええ、そうですけど。それが何か?」
「いえ……」