揺り椅子-3
「ああ、ありがとう……3人共元気だ。何もしてない私より元気なんだから不思議だよ」
ギルフォードは嬉しそうに笑う。
「髪とか目の色はどんなだい?」
ベルリアの問いかけに、ギルフォードの笑顔が一瞬にして凍りついた。
「……自分達の目で……確かめてくれ」
ギルフォードはラインハルトから離れ、アースの肩に手を置く。
「アース殿……私は君を信じているよ?」
アースの肩に置いたギルフォードの手にギリギリと力がこめられ、アースは顔をしかめながら頭の中を疑問符でいっぱいにした。
暫くしてミヤが準備が出来たと、皆を呼びに来た。
「姫様」
「ステラ義姉さん。お疲れさま」
部屋に入ったキャラは真っ先にステラの元へ行き、満面の笑顔のステラを抱き締める。
「思っていた以上に大変でしたわ……でも、子供達を見たら疲れも痛みも吹っ飛びました」
あれだけ大変な思いをして、直ぐにこう言えるのは女だからか、母だからか……どっちにしろ、自分には出来そうにないな、とキャラは益々自信が無くなった。
「さあ、未来を担う王子と姫ですわよ」
隣の部屋で赤ちゃん達を産湯に入れたミヤが、両手に赤ちゃんを抱えて出てきた。
その腕に抱かれた赤ちゃんは金髪と……黒髪……。
その場に居た全員がゆっくりとアースに視線を移す。
「え゛?」
ステラは赤毛だし、ギルフォードは金髪……何故黒髪の子供が産まれるのか?もしかして、父親は……?
アースに向けられた視線はそう語っていた。
先程、ギルフォードが言っていた『信じている』とはこの事だったようだ。
「え?いや、ヤッてねぇよ?」
全く身に覚えのないアースは両手を振って、ついでに首も振る。
「いや、私はアース殿もステラも信じている……しかし、アース殿の血が流れている子を愛せるかどうか……」
ギルフォードはしかめっ面でそう言うと、眉間を指で押さえた。
「全っ然、信じてねぇじゃねぇか!!」
「ふむ……どう転んでもバレないワケは無いが、ファン国民も何だかんだと寛大だから直ぐに受け入れるだろう」
ラインハルトは腕を組んでしみじみと語る。
「説得力有りすぎるわ!ゲイ野郎がっ!」
「あ、酷い」
アースの罵倒に傷ついたラインハルトは両手で顔を覆った。