変わらない想い-3
「そうそう、ベランダと言えば、」ケンジがおかしそうに言った。「俺、ここでおまえのショーツ盗んだんだ。」
「干してあったショーツ?」
「そう。俺がその後ずっと隠し持ってたヤツ。」
「干してあったのを手に取る時、どきどきした?」
「俺、あの時、ずっと息止めてた。」ケンジは笑った。マユミも笑った。「そして部屋に駆け込んだんだ。」
「何か、想像するとかわいいね、ケン兄。」
「その日から、俺、もうそのショーツ使って毎晩平均二回は一人エッチしてた。」
「すごい!どんな風に使ってたの?」
「え?」ケンジは少し赤くなった。
「やっぱり穿いたりとか?」
「そ、そりゃ時々は穿いたりもしたけど、キホン匂いを嗅ぎながら、とか・・・・。」
「匂い?だって洗濯して干してあったものでしょ?それでもあたしの匂いがついてた?」
「洗剤と柔軟仕上げ剤の匂いだった。でもさ、そこはほら、も、妄想でカバーだ。」
「思春期の男のコって大したもんだね。でもケン兄、穿いた時はどんな気分だったの?」
「あれはむちゃくちゃ興奮するもんなんだぞ。」
「穿いたまま出しちゃったことなんてなかったの?」
「それはない。おまえの大切なショーツは汚したくなかったからな。自分でこっそり洗濯したりもしてたんだ。」
「ホントに?」マユミは嬉しそうに微笑んだ。「そんなに大事に使ってくれてたんだー。ケン兄ありがとうね。」
「いや、そう褒められるのも何だかとっても変なんだけど・・・・。もともとおまえのショーツなんだし、大事に使うってのも、何だか・・・・。」
ケンジとマユミはベランダから表を眺めながら肩を抱き合っていた。
「健太郎はさ、真雪をそんな風に思ってたりしなかったのかな。」ケンジが訊いた。
「あの子も中三ぐらいからあたしを部屋に入れるのをちょっと拒んでたよ。」
「まあ、そんなもんだろうな。」
「でも、真雪に手を出したり、真雪のもので興奮したりはしてなかったみたい。」
「そうなのか?」
「だってあの子、高校生になった時ぐらいから、ミカ姉さんにお熱だったじゃない。」
「そうか。そうだったな。」ケンジは笑った。「しかしヤツは幸せモンだな。憧れの女性と初体験ができたんだから。」
「ほんとだね。しかもハワイのホテルで。」
「その初体験では健太郎、一晩で6回もイったんだってさ。」
「ええっ?!ほんとに?」マユミは目を見開いた。「6回も?」
「しかもミカとずっと繋がったまま。」
「知らなかった。」
「ミカ、そのハワイの晩を思い出しながら苦笑いしてたよ。さすがにへとへとになったって。」
「もう、ミカ姉さんに迷惑かけちゃって、健太郎ったら・・・・。」マユミは恥ずかしそうに言った。