ケネスの過去-4
トロントの夏は短い。あっという間に秋も過ぎ、11月がやってきた。そんなある日の昼下がり。
「ケニー、『ウォールナッツ』から今電話があった。クッキーの材料が足りなくなりそうだから、急いで届けてほしいって。」
「いいよ。」ケネスはアルバートからチョコチップの詰められた大きな袋を受け取ると、すぐに『ウォールナッツ』に向かって駆け出した。外は強い北風が吹いていた。
「すまんな、ケニー。」店の主人はそれを受け取った。「ん?」主人は窓から戸外に目をやった。
「あ、」ケネスも外を見た。街路樹が真っ白で見えなくなっている。
「吹雪いてきた・・・。こりゃ当分やみそうにないぞ。」
「珍しいね、この時期にこんなに・・・。」ケネスはため息をついた。
「上がりな、ケニー。吹雪が収まるまで上でゆっくりしていけ。」
「え?」
「これじゃ帰れんだろう。アルバートには私が連絡しておくよ。」
「じゃ、遠慮なく。」ケネスは二階への階段を昇り始めた。
階段を途中まで上がったところで、上から声がした。「ケニー、こっちに来いよ。」
それはジェニファーの声だった。
「あ、ジェニファー。」ケネスは言われた通りに彼女の部屋に入った。爽やかなラベンダーの香りがした。
「へえ・・・。」ケネスは部屋の中を見回した。女の子らしい明るい部屋だった。暖色系の色合いで統一されていた。かわいらしいクマのアップリケのついたベッドカバーの掛けられたベッドの上に、不釣り合いな法律の本が伏せて置いてある。
「ま、ゆっくりしてけよ。」ジェニファーが言った。
「ごめんね、勉強中だったんでしょ?」
「なんてことないよ。そこに座って、ケニー。」
ジェニファーがケネスをベッドに座らせた。ジェニファーも彼の横に座った。体温が感じられるほどの近さだった。ケネスは胸がどきどきし始めた。
「ケニーには彼女いるのか?」
「え?」突然の質問にケネスは驚いてジェニファーの顔を見た。彼女は頬を赤く染めて微笑んでいた。
「いるの?」ジェニファーがもう一度訊いた。
ケネスはうつむき加減で小さく言った。「い、いないけど・・・。」
「そうなんだー。」ジェニファーはケネスの顔をのぞき込んだ。「じゃあさ、セックスもまだなんでしょ?」
「ええっ!」ケネスは真っ赤になって、またジェニファーの顔を見た。
「あたしが教えてあげようか、ケニー。」
「ジェ、ジェニファー、ほ、本気で言ってるの?」
「知っといた方がいいよ、先々のためにもさ。」いつものように屈託なく豪快に話すジェニファーの真意を測りかねていると、ジェニファーは急に立ち上がり、ケネスの前に立って出し抜けに彼にキスをした。
「ジェ、ジェニファー!」ケネスはますます真っ赤になって叫んだ。「だ、だっ、だめだよ、お、俺、そんな・・・。」
「もしかして、キスも初めてだった?」
「・・・・。」ケネスは黙ってうつむいた。
「あたしさ、あんたに抱かれたかったんだよねー。」
ケネスはとっさに顔を上げた。「だ、だ、抱かれたかったって・・・。」
「あんたの身体見てると、あたしの身体が疼くんだ。オトコのあんたにはわからないだろうけどさ。」そう言いながらジェニファーは服を脱ぎ始めた。「ケニーも脱いでよ。教えてあげる。」
ためらっているケネスにしびれを切らしたジェニファーは、彼を半ばベッドに押さえつけながら服をはぎ取っていった。「あっ、あっ!ジェ、ジェニファー!」
ケネスはあっという間に下着だけの裸にされていた。同じようにショーツ一枚になったジェニファーは、自分がベッドに押し倒したケネスの身体を見下ろして短く口笛を吹いた。「中学生のくせに、なに、その下着。超セクシーじゃん。」
ケネスは黒いビキニのショーツを穿いていた。
「大丈夫、緊張しないで。あたしに任せて。」ジェニファーは今までで一番優しい声でそう言うと、ケネスの身体に自分の身体を重ねた。
「ああ・・・。」ケネスは情けない声を出した。自分の胸に弾力のあるジェニファーの乳房が押し付けられたからだった。彼のペニスはショーツの中ではち切れんばかりの大きさになっていた。
「咥えたら、すぐに果てちゃうかな?」ジェニファーがケネスのショーツに手を掛けて言った。
「え?ええっ?!く、咥えるっ?!」ケネスは最高に動揺した。「くっ、くっ、口で咥えるの?こ、これを?」
「当たり前だろ。鼻で咥えられっか。」
「ジェ、ジェ、ジェニファーの口が、僕の・・・。」
「そうだよ。それがセックスの順序ってもんだ。」
ケネスは荒い呼吸をしながら言った。「た、たぶんすぐに出ちゃう・・・・。」
「そうか。」ジェニファーは笑いながらショーツをはぎ取り、ケネスを全裸にした。「じゃあ、少しだけね。」
ケネスに考える暇も与えず、ジェニファーはケネスのペニスを深く咥え込んだ。
「あああっ!」ケネスは突然襲いかかった快感に身を仰け反らせた。
ひとしきりペニスを唾液で濡らしたジェニファーは身を起こし、ケネスの横に仰向けになった。「入れてみて、あたしに。」
ケネスは起き上がり、大きく広げられたジェニファーの脚の間にひざまづいた。そしてごくりと唾を飲み込んで恐る恐る自分のものを握り、初めて見るジェニファーの股間にあてがった。
「ゆっくりでいいからね。焦らないで、ケニー。」
「う、うん・・・。」