ハネムーン-2
「にしても、」夏輝が龍を見て言った。「もっとさ、味わいながら食べたら?龍くん。もうその皿、何にも載ってないじゃん。しかも使う前のようにきれいになってる。舐めたみたいに。」
「これが俺の味わい方なんだ。ちゃんと全部食べてるでしょ。」
真雪が一同に向かって言った。「龍はね、セックスをフルコースに喩えたことがあってね。」
「ええっ?」健太郎が眉を寄せた。
「そんなこと覚えてるの?真雪。」龍が少し驚いたように言った。
「あたし一生忘れないと思うよ。あなたから聞いた時、すっごく感動したもん。」
「で、で、どんな喩えなんだ?」修平が身を乗り出した。
真雪は声のトーンを落とした。「抱いて身体を重ね合うオードブル、おっぱいはサラダ、舐めるのはスープ。そしてメインディッシュはフィニッシュ。」
「なかなかの喩えだ。確かに。」夏輝が言った。
「キスはお酒。食事の間、何度も味わって気持ち良くなるから。」
「なるほど。」
「そして余韻がコーヒーで、その後の会話がスイーツ。」
「龍もやるねー。うまいこと言う。」
「だから、それは受け売りだってば。」龍が照れながら言った。
「それにしちゃ、龍、最初のオードブルから、えらくがっついてたようだが。」健太郎が龍を横目で見て言った。
「もう我慢できないんじゃない?」夏輝が言った。「早く真雪を抱きたいんでしょ?」
「やだー、龍のエッチ!」真雪は隣の龍の後頭部を軽くひっぱたいた。
「ち、違うよ!」龍は赤面した。