披露宴-7
健太郎はピンクのスーツ、龍はライトブルーのスーツ、春菜はピンクのドレス、そして真雪は龍とおそろいのライトブルーのドレスに着替えて席についた。
昼前から続いていたダブル披露宴は薄暮の頃ようやく一段落がつくことになった。
「さて、結局今の時点まででお帰りになるお客様はいらっしゃいませんでしたが、」
「ありがたいコトですね。二組の新郎新婦に成り代わりまして、厚くお礼を申し上げます。」夏輝と修平は同時に頭を下げた。
「それでは、一旦シメましょう。」
「はい。そうしましょう。」
「こうなることは予想しておりませんでしたので、予定にはなかったのですが、」
「新郎新婦のご両親への花束贈呈、並びにご両親からのご挨拶を頂きたいと思います。」
「花束はさっきわたくしが大急ぎで買って参りました。」
「はい、ごくろうさん。」
「それでは、ご両親様、ステージにお進み下さい。」
ケンジとミカ、ケネスとマユミ、そして春菜の両親がステージに上がった。
「今まで、本当にありがとう、パパ、ママ・・・。」春菜は目に涙を溜めて花束を父親に渡した。健太郎が隣の母親に花束を渡した。「春菜さんを頂きます。大切にします。」
「健太郎くん、」父親が微笑みながら声を掛けた。「君が娘を大切にしてきてくれたことは、私たちもちゃんとわかっている。これからもいっしょに、どうか、仲良く・・・・・」そして声を詰まらせた。
「何だか、照れくさいけど、」真雪がケンジに花束を渡した。「これから、どうぞよろしくお願いします。」龍はミカに花束を手渡した。「俺をここまで育ててくれて、感謝してる。ありがとう、母さん、父さん。」
ケンジが言った。「やっと来てくれたね、真雪。」そしてにっこりと笑った。
春菜が二つ目の花束を手に取り、ケネスに向き直った。「お父さま。こんな私ですが、末永くよろしくお願い致します。」そうして花束を彼に手渡し深々と頭を下げた。
「いっしょに楽しくやっていこうな、春菜さん。」ケネスは春菜の手を取った。
健太郎はマユミに花束を手渡した。「母さん・・・・。」
マユミは目に涙を溜めて小さな声で言った。「あたし、あなたを産んで、本当に良かった。間違ってなかった・・・・。」