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『私の初めてのひと』
【痴漢/痴女 官能小説】

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『私の初めてのひと』-5

「ごめん。ちょっとスカートにかかっちゃった。これ使って」
「あ…」

私が壁にもたれて息を整えている間にいつの間にか身支度を終えたその人は、きれいにアイロンされたハンカチを差し出して私に渡した。

「じゃあ、俺先にいくから。またね」

今あったことが嘘みたいな爽やかな笑顔でそう言うと、その人はまだ呆然としている私を残し、トイレから去っていった。

(なんか夢みたい…っていうか夢だったんじゃないのかな)

一人になった私はのろのろと制服を着直し、手を洗って身だしなみを整える。
信じられなかった。周りから真面目だとか堅物だとか言われてる私が、初体験を全く知らない人と駅のトイレでするなんて。

(まだ体がふわふわする…)

髪をきゅっと結び直して、ぼうっとしている頭がはっきりするように、顔を両手でパン!とたたく。
それでもまだ鏡には、虚ろな目で頬を上気させた自分が映っていた。

スクールバッグを持って忘れ物がないか辺りを見回したとき、洗面台の前に見慣れないハンカチが置きっぱなしになっていることに気づいた。

(夢じゃなかったんだよね。やっぱり…)

低くて心地よい声と、言動に不似合いすぎる爽やかな笑顔を思い出す。

(…また、会えるのかな)

グリーンのタータンチェックのハンカチを手にとった私はそんなことを思いながら、先程の出来事が現実であったことの証明をセーラー服の胸ポケットにそっとしまった。


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