『私の初めてのひと』-3
「きゃっ!」
全体重を預けていたドアが急に開き、私が前にたおれこみそうになったのを後ろのひとが抱き止めてくれた。
いつのまにか降りる駅に電車がついたようだった。
「あ、ありがとうございます」
(ってこの人痴漢じゃん!お礼言うことなんてなかったかも)
ホームに無事降りたとき、そう思って顔をあげると、目の前には細身のグレーのスーツをきた優しそうな若い男の人が爽やかな笑顔を浮かべて立っていた。
「どういたしまして」
(この人が痴漢?まさか…)
とてもそんなことするような人には見えない。想像していた痴漢とのあまりの違いに戸惑っていると、その人は自分の右手をそっと私の目の前に掲げた。
「!」
よくみると、その指にはとろとろした液体がついていた。
「気持ちよかった?」
そういいながらその人が指をゆっくりと開くと、つーっと銀色の糸が引いた。
かっと全身が熱くなり、ざわざわとした周りの音が一瞬で遠くなる。自分の中からとろりと熱い液体が外に流れ出したような気がして、私は思わず足を閉じた。
「ねえ、まだしたい?」
その人は顔を私に近づけるとそう囁いた。
「え…」
「したいなら、こっちへおいで」
くるりと私に背を向けると前に立って歩き始める。
私は帰ればいいのに、熱に浮かされたみたいに、その人のあとを追いかけていった。
改札を抜け、広い駅の中をどんどん進み、その人は人気のない出口付近にある障害者用トイレのドアを開けると、私の腕をつかんで中に引き込んだ。
鍵をかけると同時に後ろから抱きすくめられる。
「きゃっ!」
びっくりして手に持っていたスクールバッグを床に落としてしまった。
「やっ!いたい…」
乱暴に壁に体を押し付けられてスカートがめくり上げられ、パンツが膝下まで引き下ろされる。
(私全然知らない人とこんなことしてるんだ…)
こわいはずなのにどきどきがとまらない。さっきの続きをしてほしい。私は壁に手をつき、その人に向かって裸のお尻をつきだした格好のまま、ふるふると震えていた。
怖くて震えていたんじゃない。早く快感が欲しくて、我慢できず無意識のうちに腰をくねらせていた。
「変態だな」
そんなことをいわれ、また頭がぽうっとしてなにも考えられなくなってくる。指が今度はなんの遠慮もなく思い切りそこを刺激してくる。
「あ、あ、だめっ!いっちゃう!」
ぬるぬるのそこを下から上へ勢いよく擦りあげられただけで私はまたいってしまった。