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THANK YOU!! ver.秋乃
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-3



秋乃は、自分の気持ちが無視されたような気分になり余計に腹が立つ。
しかし頭に血を登らせるだけ無駄だとすでにこの一週間で分かってしまったので、無理やり苛立ちを心の奥に押し込み、頭を冷やす。
少しの不機嫌さを隠すことなく、続けた。

「先輩、運動部と兼部してますよね。朝練サボってんじゃないですか」
「サボりじゃないよ。このあと出るの」
「・・このあとって・・どう考えても朝練遅刻ですけど」
「うん、でも俺神奈川から来てるから15分までなら遅刻許されてるんだ」

呆れた溜息しか出なかった。
つまりは、自分の為に10分も部の朝練を遅刻して行ってるのか。
どうしようもなく救いようがないダメな先輩だ。
どうしてこんな人がモテるのだろうか、とりあえず世の中不公平な気がする。
まともに付き合ってはダメだと判断した秋乃は一方的に繰り広げられる話に適当に相槌を打ってごまかすことにした。
どうすれば、この人が自分につきまとわなくなるだろうか。と対策を練りながら。

そのやり取りは、校門をくぐるまで続けられた。




教室に着くと嫌な予感を感じた通り、中3の女子集団に“お呼び出し”をされてしまった。
今まで呼び出された中で、肉体的に傷つけられたのは8回のみ。
一ヶ月足らずで8回というのは多いと思う方もいるかもしれないが、呼び出された回数はもう10回をゆうに越し、30回も超えているだろう。一日で二回や三回も呼び出されるのだ。違う学年の先輩たちから。
今日呼び出したのは、以前二回ほど呼び出したことがある先輩たちだった。
たしか、高校生だったな。と思いつつも屋上に向かう。

時間帯で人気の有無が変わる屋上。
この朝、HRより20分前の時間は屋上には誰も居ないし、誰も来ない。
理由はこれまた雅弥。
サッカー部の雅弥が遅刻をしてきて準備運動を終わらせてやっと練習に入る時間なのだ。
大抵の女子がグラウンドまたは教室から観戦して黄色い声援を送る。
男子はそんな女子を見たくないのでわざと時間をずらして登校するか、女子の雅弥への声援が聞こえない図書館に逃げ込むのだ。
屋上からは野球部が使うマウンドは見えるが、雅弥の居るサッカー部のグラウンドは見えないが声援は痛いほど聞こえてくる為に誰も来ない。

秋乃はブレザーの、裾がちょっと特殊な指定のベストに付いているポケットに入れた携帯を取り出す。そこにはどこから漏れたかは知らないが全く知らないアドレスからのメールが何通も入ってきていた。全部、嫌がらせメール。
秋乃は瑞稀以外のメールを全て消した。もう、慣れた作業だ。
削除されたと表示が出る携帯を仕舞い、顔を上げると丁度屋上の扉が開いていて向こうに呼び出した女子が待っているのが見えた。一旦足を止め、ふう・・と小さく息を吐いた。
そして黒いニーハイに包んでいる足を動かして屋上に出た。




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