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THANK YOU!! ver.秋乃
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-2



「ち、かい!!!」
「うわっ!」

身体をぶつけるような引き剥がされ方をした相手はヨロけた。
その相手というのは・・秋乃よりも頭一つ分高い同じような制服を着た男子。
秋乃はその男子をキッと睨みつけるとバッグを持つ手に力を込めた。

「っんとに、いい加減にしてください!!朝篠先輩!!」
「えー。なんか固まってたから声かけたのに」
「頼んでないんですけど」
「うん、気になっただけだもん」

秋乃に冷たく返されても尚、ニヘラっと笑っている男子。
朝篠雅弥。秋乃の一つ上の先輩に当たる人だ。
実は瑞稀のことを現実問題として傍に行けないこととは別に理由があった。
それが、この朝篠雅弥のせい。
瑞稀の問題とは別に秋乃は“秋乃の問題”を抱えていた。
入学してすぐに入部した美術部で偶然出逢い、それからは時々気にかけてもらっている・・・といえば本当に聞こえはいい。
だけど最近は気にかけてもらっている程度では無いのだ。
朝も昼休みも放課後も、何かと時間があれば秋乃の目の前に現れるようになっていた。
そのことに気付いた最初こそは先輩ということもあり、あまり冷たく突き放せなかったがもう先週くらいから冷たくしている。

秋乃が男子を良く思っていないことと、朝篠雅弥が容姿・性格から女子にモテるという事実が主な理由。
同じ学年からはたまた最悪な時は新任の教師にまで朝篠との仲についてあれこれ聞かれるのだ。
だから既に女子の間では一ヶ月足らずで有名になってしまった。

『一年の柊秋乃という女子が朝篠雅弥をたぶらかしている』と。

その噂を聞いたのは、何日か前。高校生の女子集団に呼び出された時に言われたのだ。
勿論、勝手につきまとわれている秋乃からして見れば殺意が芽生えた。
だからといって雅弥に罪があるわけでもない。それを分かっているからこそ、秋乃はどうしていいか良く分からないまま雅弥のペースに振り回されている。
そして女子集団から呼び出されるという無限のサイクルに陥っているのだ。
別に付き合ってる訳でも、告白されたわけでもない。なのに、いつも傍に来る。

だから、秋乃の現実問題は雅弥との曖昧な関係だ。
勿論秋乃は雅弥のことを異性として見てはいない。ただ、何故つきまとうのだろうといつも考えて悩むだけ。
来ない時間は静かで良いと淡々と読書や絵を描き上げられるし、女子から嫉妬の目で見られることもない。
来たら、何で来るのかと考えるし一方的な会話に巻き込まれるだけ。なのに居た堪れなくなって逃げ出したくなる。
瑞稀のことも勿論大切だが、今の秋乃には瑞稀のことを考えられる余裕なんて無い。


「秋乃ちゃん、早く行かないと遅刻するよ!」
「・・足を止めさせたのはそっちですけど」
「えー、俺じゃないよ。秋乃ちゃんがぼーっとしてるから」
「してません。それより、朝ホームで待ち伏せてるの止めてください」

雅弥より早く歩こうと早歩きで階段を降りるが、男である雅弥には丁度良い速さのようで平然と隣に立たれる。自然と、二人で歩いているような絵になる。
そのことに、秋乃はこのあとに起こるであろう出来事を考えてしまい腹が立ってくる。
大体、朝毎日ホームで秋乃を待ち伏せしているのだ。
それが無ければ朝から会うことも無いハズなのに。
そう苦虫を潰したような顔で告げる。
一方、雅弥は秋乃の嫌そうな顔にひるむ様子もなくあっけらかんと、朝一緒に登校したいからかなーなどと言ってくる。



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