『SWING UP!!』第9話-35
「片瀬」
「は、はい!?」
「えっと、な…」
やがて信号が青に変わり、横断歩道を渡りきったところで、航が珍しく口ごもりながら、やがて決意したように、言葉を繋いだ。
「トイレ、行きたいんじゃないのか?」
「!?」
自分の状態を知られてしまったのかと、最初は血の気が引く思いがした。
「違ったら、すまん」
だが、航があさっての方向を見ながら、やや恥らっている様子を見せているので、自分が生理現象を催して我慢しているのだろうと、純粋に気遣っているのがわかった。
「は、はは。バレた?」
結花はこれ幸いと、話に乗る。
「あそこの公園に、公衆トイレがあるから、ちょっと、寄ってく」
「わ、わかった。公園の入り口で待っている」
シモの話をしているからか、航の顔が少し赤らんでいた。それが少し可愛く思えて、
(う)
結花の秘花が、さらに蜜を生み出して潤った。
「ごめんね、木戸。ちょっと、失礼!」
先んじて小走りに、公園の中へ入って、公衆トイレへと向かう。よくあるコンクリートの建物を見つけると、女性用のスペースに躍り込み、三つある個室の一番奥に体を入れて、すぐさまドアを閉めた。
「はぁっ……!」
バッグを無造作に足元に置き、腰ベルトのバックルを外して、おもむろに下着ごとユニフォームのズボンを、膝のところまで引き下ろした。
「うわぁ……」
ヌルッとした擬音を当てはめたいくらいに、股間と下着の狭間に糸を引くものがあった。紛れもない、欲情の証である。
(おでこ、さわられただけだったのに……)
左手で額に触れてみる。航の手のひらの感触が、しっかりと残っていて、それがじわじわと体中に沁みこんで来るように、結花の劣情を少しずつ煽っていた。
(アソコ……ベトベトじゃん……拭かない、と……)
トイレは和式だったので、白いそれを跨ぎながら、結花はおもむろにしゃがみ込んで、ロールペーパーを右手に巻き取ると、煌きを帯びている自分の秘処にそれを押し付けた。
「ん……」
じわ、と滲んでくる感覚は、官能を含んだ心地よさがあった。
こしこし…
と、ペーパーで、ヌメリを拭う。だが、その擦りあげたときの感触が、更に内側からヌメリを生んでしまい、最初に手に巻き取った分は、粘性のある水分を吸い尽くして、ドロドロになっていた。
(はやく、戻んないと…)
思いとは裏腹に、結花の股間から糸を引いて、便器の水溜りに落ちていく愛蜜。二度、三度と、それを拭き取るうちに、いつしか結花の指は、明らかに“拭く”のとは違う動きを見せ始めていた。
「ん、く……」
ペーパー越しに感じる、自分の秘処の柔らかさ。いつもなら、下着越しに何かを擦り付けて愉しむ“自慰(オナニー)”だが、結花は初めて、ペーパー越しとは言え、その部分を直接指で愛撫する行為によって、性の昂ぶりを慰め始めていた。