花ノ章-3
「関係ないですよ。ただ、痛むかもしれませんが大丈夫ですか…？」
軽く額に口付けた後、紫苑の髪を撫でながら、彼の心配している内容を告げる。
ゆっくりと髪を梳く蘇芳の長い指が快い。
そして、そんな彼の温かい心遣いが、紫苑は嬉しくて堪らなかった。
「…平気です、蘇芳さんなら…。私の全てを捧げようと誓った唯一の男性ですから…どんなに痛くても耐えられます」
だが、弱々しく微笑む様が、内心の拭いきれない彼女の不安を如実に表していた。
彼女はこんなにも自分のことを想ってくれている。
少しでも痛みを和らげるため、蘇芳の愛撫に自然と熱が入る。
依然、指は花芯を捕えたまま、もう片方の指を彼女の紫苑の蜜口に軽く挿入させた。
「んっ…」
突然の違和感。秘部を襲う異物感から彼女は腰を揺すって逃れようとする。
蘇芳はそれを制して、さらに深く指を進めてゆき、指をくの字に曲げて内襞を刺激した。
「うぅぅっ…」
快感なのかまだ判別がつかないようで、紫苑は押し殺したような声を漏らす。
内に溜まった愛液を指で掻き出してやると、とめどなく溢れ出る愛液が蒲団に染み込んでゆく。
これだけ濡れていたらもう十分だろうと思い、蘇芳は自分の物を取り出した。
「あ…」
屹立した男の象徴が紫苑の目に飛び込んできた途端、先程から喘ぎ声を上げ続けていた彼女の口から嘆息のような呟きが漏れる。
彼女の割れ目に肉棒を沿わせて動かすと、熱くて堅い感触が再び紫苑の敏感な部分を襲い、切ない吐息を漏らす。
紫苑の愛液によって、蘇芳の男根はてらてらと烏の濡羽のように光る。
何故か、彼女はそれから目が離せない。思い切って声を発した。
「蘇芳さん、私も触ってみて…良いですか？」
「でも…」
「触ってみたいんです…」
熱っぽい視線を向けられては、無下に断れるわけがない。
紫苑は体を起こして、膝立ちになった蘇芳の中心に佇むそれに手を添えた。
大きく勃起して、脈打っている。
興味深そうに繁々と見つめられると蘇芳は何だか気恥ずかしかった。
それに、ますます力が漲ってくるようだ。
しかも、何の前触れもなく、紫苑が亀頭に舌を這わせたのだから堪らない。
「なっ…！紫苑さ…」
「私も、蘇芳さんに愛してもらった分、気持ち良くなって欲しい…」
上目遣いでそんなに愛らしいことを言われて、断れる男がいるだろうか。
たどたどしく舌を這う感触がもどかしくてむず痒い。
紫苑は両手で竿の部分を優しく握り、今度は口の中に咥え込んだ。
敏感な先端部分を這い回る彼女の舌と、先程絡ませた紫苑の愛液のぬめりが彼女の握った手を通して肉棒全体に伝播し、何ともいえない快感をもたらす。
蘇芳の口から呻く様な低い声が漏れる。快楽に酔い痴れたような切ない喘ぎ声。
その声を聞くだけで、紫苑は満たされていくような気がした。
切なげに目を細めて快楽を享受する姿が、男なのに何故だかとても艶っぽい。
口内に唾液を溜めて、わざと大きく音がするように口を上下させる。
必死に自分の物を舐める紫苑の姿が蘇芳の目に映る。
体に直接与えられる快感だけでなく、視覚的にも彼の劣情を刺激する。
「そろそろ…紫苑さんと繋がりたいんですが…」
射精感を懸命に堪え、苦笑を浮かべながら紫苑の頭を優しく撫でた。
紫苑が口を離すと唾液が細く長く糸を引いて、その様子が何とも言えず淫らだった。
恍惚とした表情で、反り返った蘇芳の逞しい男根を見つめている。
蘇芳は紫苑を蒲団に寝かせて、自分も彼女の上に覆い被さる。
ゆっくりと着物を脱ぎ捨てた後、紫苑の蜜壷に自身を宛がった。
処女膜に護られたそこは、彼の侵入を阻む。
少し力を込めて、自身を侵入させると、一筋の朱が流れた。破瓜の鮮血だ。
紫苑は強く目を閉じて、只管痛みに耐えている。
その姿に若干胸を痛ませながらも、苦痛を長引かせないためにさらに力を入れて捻じ込む。
「つッ…」
温かい紫苑の媚肉が、蘇芳の肉棒をきゅうきゅうと締め上げる。
言い表しようのない快感が、蘇芳の肉棒から全身を駆け抜ける。
紫苑の柔らかい乳房を両手で愛撫しながら、彼女が少しでも楽になるまで動かずに待つ。
痛みと快楽の狭間に、紫苑の意識は激しく揺さぶられる。
「蘇芳さん…動いて下さい。もう、平気ですから…」
その言葉はきっと真実ではないだろう。
それを理解しつつも、蘇芳は彼女の気持ちを無駄にしないために、一度入り口付近まで肉棒を引き、雁首で周辺を刺激した。
同時に、痛みから気を逸らさせるために、指の腹で花芯を擦り続ける。
ぐちゅぐちゅと、結合部からは淫らな音がする。
「ふぁ…っ」
紫苑の上げる声から若干、痛み以外の艶を含んだ響きが感じられたので、蘇芳はもう一度自身を彼女の奥深くまで押し込んだ。
案の定、先程より容易に受け容れられる。
それからは軽く抽送を繰り返し、彼女の体を慣らすことだけに専心する。