彼2-4
呼び鈴が鳴りました。
本当は、もう部屋に入れたくなかったんだけれど、最後の瞬間を迎える為には仕方ありません。
部屋に入れました。
不倫相手、いつものように、ずかずかとリビングに入って来て、ネクタイを緩めながら「ビールある?」って言いました。
もう、その時点でアウト!
ちっとも「私の変化」に気づいてない!
もしかしたら気づいていてわざとかも知れないけれど、まるで私の事を「妾」と思っているように感じて、もう冷めてしまって、0になっていたのがマイナス状態の「嫌い」な部類に入ってしまいました。
「最悪! こんな男だったんだ!」って思った。
私、ハッキリ言いました。
「彼氏が出来たんで、貴方とは別れる事にしました。家族を大事にして下さい!」
不倫相手、いきなりだったせいもあるだろうけれど、しばらく何も言えなくなってました。
「セフレ以上恋人未満」から「気が向いたらセフレ」くらいに「格下げ」しておいてあげても良かったんだけれど(笑)、それを拒否したのは不倫相手の傲慢さだと思います。
「なんだよ。突然だなー。」
精一杯虚勢を張っている感じで、不倫相手が言いました。
「いつも『早く彼氏作って、俺とは別れた方が良い』って言ってたじゃないですか。」
「そうだけれど、急すぎて付いて行けないよ。」
「それは、ごめんなさい。でも、彼氏が出来ちゃったんだから、もう来ないで下さい。」
「そうか・・・。」
「・・・」
いつも「妻子を捨てるような事はしない」とか、「おまえはまだ若いんだから、早く結婚相手を見つけろよ」なんて、言うような人だったから、てっきりそれで終わると思ってました。
ところが、不倫相手がその後言ったのは、想定外でした。
「ダメだ。許さない。」
「えっ?!」
「おまえは俺の女だ。まだダメだ!」
「??!!」
何それ?! って感じでしょ?!
私は妾じゃないし、経済的にも援助されてる訳じゃないし、まして、それほど惚れてた訳じゃない!
私、ちょっと強い語調で言いました。
「許さないって何ですか? 私は、貴方の妾じゃありません!」
私の勢いに驚いたみたい。ちょっと、ビックリしてた。
次の瞬間、不倫相手が私に飛びかかって来ました。私はもう別れるつもりだったから、いつもみたいにそばに近づかずに、リビングのテーブルを挟んで座ってたんだけれど、そのテーブルを回り込んで、私に抱きついて来たんです。
そして、強引にキスしようとしてきました。
私、精一杯の抵抗をしました。
「やめて!」って叫んでた。
その時でした。
彼が私の部屋に飛び込んできたんです!
ドラマみたいな展開でしょ?!