★★★★-5
陽向をおんぶして店を出る。
あの後、湊はみんなに陽向と付き合っているということを公表した。
奈緒は予想通り発狂したが、楓になだめられ、「陽向ならしょうがない」と涙ながらに言ったのだった。
尊は「悪かった!」と潔く謝り、みんなに爆笑された。
「じゃ、気を付けて」
別れを告げた後、湊と陽向以外は全員電車通学であるため、駅へと向かって行った。
暗い夜道を陽向をおんぶしながら歩く。
少し歩いたところで「ん…」と小さな声が耳元で聞こえた。
「あ…あれっ?」
「起きた?」
湊が歩きながら言うと、「わ!ごめん!」と言って陽向は湊の背中から降りた。
「酒癖悪すぎ。…って何回も言ってる気がする」
「…ごめん」
湊はフッと笑って歩き出した。
陽向もその横をチョロチョロと歩いた。
「湊…」
「ん?」
「あのさ…」
「なに?」
「…たい」
「え?」
「手…繋ぎたい。…いい?」
陽向が恥ずかしそうに湊を見上げる。
ニヤけてしまうのをこらえる。
「ほれ」
手を差し出すと、陽向はその手をぎゅっと握りしめた。
「酔ってんの?」
「酔ってない」
「うそつき」
「うそじゃないもん」
小さな手に指を絡めて握り返すと、陽向はヒヒッと手の甲を口に当てて笑った。
湊の住むマンションの前まで来る。
「俺んち来て」
湊はそう言うと、陽向の手を握って一緒に部屋まで行った。
ドアを開け、中に入る。
リビングへと繋がるドアを開け、部屋の隅に荷物を置く。
ソファーに腰を下ろした湊の隣に陽向も座ろうとした。
その瞬間、陽向の腕を引っ張る。
「ひゃっ!」
倒れこんだ陽向をぎゅっと抱き締める。
「お前さ、タケにあんなことされて何も思わないわけ?」
「あんなことって…?」
「こんなことされたり…」
湊は意地悪な眼差しを陽向に向け、親指でほっぺたを撫でた。
クリクリした目が少し、憤りの色を帯びる。
「…湊だって、奈緒とイチャイチャしてたじゃん」
「嫉妬した?」
「し、してないもん…」
「俺はしたよ」
「え…」
陽向をソファーに押し倒し、白い首筋に唇を這わせると、陽向はピクンと身体を震わせた。
「やっ…」
「初めて嫉妬した」
嘘ではない。
あんな状況、見たくなかった。
陽向が他の男に触れられるだけで、本当は話している姿を見るだけでも、穏やかならぬ気持ちになる。
こんな気持ちになるのは初めてだ。
認めたくないが、これが嫉妬というものなのだろう。
「湊らしくないね」
「なにが?」
「そんな事言うの」
「いけない?」
「いけなくないよ」
陽向はヒヒッと笑うと、湊の首に腕を回し、唇に短いキスをした。
少し、恥ずかしそうに微笑む。
初めて陽向にキスをされた。
それだけで、胸が高鳴ってしまう。
今度はこちらからキスをする。
ついばむように、何度も。
上唇を挟み、舌でなぞり上げる。
舌を中に差し込むと、陽向もそれに応えた。
互いの身体を夢中で撫でる。
息が上がった陽向の首筋に、また唇を這わせる。
「は…ぁ…」
コートとカーディガンを脱がして、服越しに胸に唇を当て、じんわりと温かい息を送る。
大きな方ではないが、丁度いい大きさだ。
ボタンを外し、下着を露わにする。
淡い黄色の下着が彼女らしさを出している。
キスをしながら背中に手をやり、ホックを外す。
陽向は湊から目を逸らして顔を赤くした。
「何今更恥ずかしがってんの?」
湊が笑うと、陽向は「黙って」と言って湊の口に手を当てた。
その手を舌で舐め上げると陽向はケタケタ笑った。
無邪気すぎる笑顔が愛おしくて仕方ない。
抱きしめ、胸を優しく揉みしだく。
「ここ、ちょー硬くなってんだけど。やらし…」
右の中指と親指で乳首を摘み、人差し指で刺激する。
気持ちいいのか、「んっ…」と声が漏れる。
しばらく胸への愛撫を続けた後、纏っていた服を脱がす。
湊も服を脱ぎ捨て、ソファーに横たわる陽向に覆いかぶさった。
深い口付けを交わした後、まぶた、首筋、胸、おへそへ順に唇を這わす。
舌で乳首を転がす。
感じやすい体質の陽向は小さな声を漏らしながら湊の腕を握った。
手を股間に滑り込ませ、なぞり上げる。
「んっ…あ…」
「やばい。ちょー濡れてる」
湊は楽しそうに言うと、クリトリスを一瞬だけこすり上げた。
「あっ!」
「ここ、気持ちいいんだ?」
今度はその部分に指を当て、激しく擦る。
「んぁぁ…あっ…」
陽向はビクッとなって湊にしがみついた。
粘着質な音が響き渡る。
「湊っ…だめっ…」
「だめじゃないでしょ」
快感に浸る陽向がエロ過ぎて、更に興奮する。
「触って…」
陽向の手を取り、痛いくらいに張った自分のものを握らせると、陽向は上下に動かし始めた。
互いを愛撫し合う。
先端から出た先走りを、指で擦り付けられる。
ヌルヌルとした感覚が気持ちいい。
「は…」
思わず、声が出てしまう。
湊はクリトリスを弄んでいた指を何の前触れもなく中に入れて、激しく掻き回した。
「んぁっ…あっ…あ…」
仰け反った白い首筋を舐め、唇を耳に移動させる。
耳は陽向の性感帯だ。
随分前にそれを知った湊は、耳の中に舌を入れて舐め回した。
「あぁっ…湊っ…や…ぁ…」
「ホント…耳弱いのな…」
「だ…だめ…」
陽向はそう言うと、ピクッと身体を震わせてイってしまったようだった。