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Eプラント
【ホラー 官能小説】

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球根-1


――球根


 来訪者を知らせる耳慣れた呼び出し音が鳴って、乾燥が終わった洗濯物を取り出そうとしていたユリは、作業の手を止めてリビングの壁に張り付けたドアホンの送話器まで駆け寄った。

「宅配便でーす。佐藤ユリ様のお宅はこちらでよろしいですか……お届けものは、いかが致しましょう?」

 送話器の小さなモニターには、有名宅配企業のロゴが大きく入った帽子を被り小さな箱を脇に抱えた配達員の姿が映っていた。ユリは、ボタンを押して向こうにもこちらの声が聞こえるようにモードを切り替えた。

「ご苦労様です。えーと、荷物は宅配ボックスに入れておいて下さい。そこから左に入ったところに並んでますから。今、カギ開けますね」

 はい、わかりました、毎度有り難うございます。配達員は、お定まりの挨拶を返してモニター画面の右手にある宅配ボックスの方へ姿を消した。

 ユリが夫と住んでいるマンションは、もちろんオートロック仕様なのだが、それに加えて玄関の奥に各戸専用の宅配ボックスが備え付けられていた。両手で抱えられる程度の大きさの箱なら余裕で納められる容量があって、部屋からの遠隔操作でカギの開け閉めが可能になっている。また、配達員の受け取り確認のために簡易押印機能まで付属している優れものだった。ここに入れておいてもらえれば荷物が盗難に遭ったりする心配はない。

 ユリは、中断した作業を再開するため、全自動洗濯機のところまで戻った。

 フェイスタオルやバスタオル、夫の下着や靴下などは後でたたむので適当にカゴへ放り込み、綿のシャツやブラウスは洗濯のときに着いた糸くずやほこりを払ってからその上へ被せる。最後に、目の細かいネットに入った自分の下着を取り出した。

 ネットのファスナーを開けると、中に入っていたのは、ちょっと “刺激的な” 下着一式だった。淡いピンクの生地に黒のレースをあしらったビスチェと、お揃いのTバックショーツ、ガーターベルトとストッキングの4点セット。1週間前に、ネットで見つけた専門サイトから通販で買ったものだった。

(よかった。ちゃんと洗えてる)

 他の物はともかく、ビスチェの型くずれが心配だったユリは、少しホッとして、下着一式をカゴのシャツ類の上に載せた。もっと高級で値段の張るものなら手洗いが基本なのだろうが、コレはわりとリーズナブルな価格だったし、洗濯機にかけても大丈夫そうな素材が使われていたので試してみたのだ。


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