球根-4
× × ×
その後、夜半すぎまでお互いのからだを貪り合い、結局、2回もセックスして、3回もイカせてもらった。セクシー下着の効果は十二分に発揮されたことになる。
(値段のわりに、すごくいい買い物だったなぁ)
ユリは、気分よく洗濯物をたたみながら、そう思った。
シャツにアイロンをかけ洗濯物をタンスと衣装ケースに直して、リビングまで戻ってきたユリは、さっき、配達員が宅配ボックスに置いていってくれた届け物のことを思い出した。
ユリは、玄関に置いてあるキャビネットのドアに作り付けられた鏡で簡単に身なりをチェックして特に問題がないことを確認してから、宅配ボックスのある1階までエレベータを使って降りていった。
宅配ボックスは、部屋からの遠隔操作だけでなく、もちろん、カギを使えばフツウに開けることができる。ユリは、宅配ボックスの中から、片手に載せて少しはみ出すくらいの小さな箱を取り出して、貼ってあるラベルの送り元の欄を見た。
(あぁ、アヤメさんから……)
ネットのガーデニング関連のSNSで知り合った、花やハーブの種や球根などを何回かやり取りしている相手だった。実際に顔を合わせたことはないが、ユリと同じく二十代半ばの専業主婦で、フルネームを鈴木アヤメといった。ラベルの品名のところは空欄になっている。
(今度は何を送ってくれたのかしら?)
ユリは、少し疑問に思いながらも、宅配ボックスのカギを締めて、15階の自分の部屋までアヤメから送られてきた小さな箱を持ち帰った。
部屋に帰ると、早速、アヤメから送られてきた荷物を開封してみた。中には、ひと回り小さな木の箱と、何やら説明のようなものが書かれたA4用紙が1枚入っていた。ユリは、箱の中身を気にしながらも、とりあえず、書いてあることを読むことにした。
<Eプラント>
1. 5号(直径15cm)くらいの大きさの植木鉢を用意します。
2. 赤玉土に腐葉土を3割くらい混ぜて、上から2cmくらいのところまで入れます。
3. ギリギリ埋まる程度の深さに穴を掘って、球根を据えます。
4. 球根の頭が出るか出ないかくらいのところまで土をかけて埋めます。
5. 約3日間、水やりをしながら日光の当たる場所(窓際など)に置きます。
6. 芽が出たら少し肥料を加え、同じように水やりと日光浴を繰り返します。
7. 育て方はあなた次第です。たっぷりの愛と情熱を注いであげて下さい。
(うーん、7番は特に要らないような気がするけど……)