合コンその後-1
「ねー、きのうはどうしちゃったのよ。美紅」
朝、教室に入るなり美紅はクラスメイトの女子数人に取り囲まれた。
「ごめんね、急に具合悪くなって」
きのうの合コンでカラオケに入る直前、美紅は級友に気分が悪いと告げると逃げるように走り去ったのだ。
「もー大変だったんだから」
「美紅目当てで来てる人もいるしさー」
「ほんと、ごめん」
下を向いてうつむく美紅にクラスメイトたちは顔を見合わせる。
「ちょっとまだ具合悪いんじゃないの?」
「大丈夫?」
「大丈夫」
顔を上げて弱々しく答える美紅に女子たちはそれ以上文句を言うことも出来ず、それぞれの席についた。
「それにしてもさ、カッコ良かったよね」
美紅の耳に女子たちの賑やかな声が入ってくる。
「へぇ、そんなにカッコ良かったの。いいなーあたしも見たかったな」
美紅の隣に立つ翼が言うと女子たちは一斉に美紅たちに向かって話し出す。
「マジで!中でも俊哉くんが超イケメン!」
「えー、あたしは和樹くんかな」
「和樹くんて、ジャ○系だよね」
「そーそー」
ガタンっ!!
突然大きな音がして、美紅が椅子から立ち上がる。
「どした?美紅」
不思議そうな顔をする翼に美紅は「ちょっとお手洗い」と言って席を離れた。
「美紅、大丈夫かな?」
「やっぱりまた本調子じゃないんじゃない?」
女子たちは立ち去る美紅の背中を見ながら心配そうな顔をするが、すぐにまた賑やかに話し出す。
「みんなすごく優しくて〜」
「お金ももってそうだよね」
「やっぱ一高はお金持ち多いよね〜」
廊下をかけて美紅はトイレに飛び込んだ。
あんな風に急に席を立ってみんなに変に思われたかもしれない。
でも、とても平気な顔をしていられなかった。
同時にあの時の体験が鮮明に蘇る。
胸とあそこをいっぺんに弄られる快感。
達してもまた別のペ○スを挿入されて…
ずくん、と下半身が疼く。
(だめっ)
かぶりを降って美紅は淫らな記憶を振り払う。
しかし、あまりにも現実離れしたあの体験は美紅の記憶にしっかりと染み付いて離れようとはしなかった。
ずくずくと下半身の疼きを感じながら美紅は苦しげに息を吐いた。
ーーー
夕刻の教室で美紅は担任から頼まれた資料作りをしていた。
ふと窓の外に目を向けるとクラスの男子が何人か外で集まってサッカーをしている。
もう日も落ちかけてきているのに、無邪気に笑いあうその中に彼を見つけた。
川島 颯太(かわしま そうた)
同じクラスで人気のある男子だ。
明るくて爽やかで頭もいい。
サッカーも上手なので同学年はもちろん、上級生、下級生からも人気がある。
美紅も密かに憧れていた。
(楽しそうだなー)
窓際に立った美紅の顔が綻ぶ。
夕日をいっぱいに受けてオレンジ色に浮かぶ颯太はまるで本当の太陽のように眩しく美紅の目に映った。
辺りが暗くなるまで美紅は颯太を見つめ続けていた。
ーーー
(…眠れない)
夜、美紅はベッドの中でも何度も寝返りをうつ。
身体の疼きは頂点に達しようとしていた。
しばらくすると、おもむろにパジャマのズボンを脱ぎ、パンティも同じように脱ぎ捨てる。
(あっ…)
指を這わせたそこはしっとりと濡れていた。
潜り込ませた指をくちゅくちゅと動かしながら、同時に空いている左手で胸をやわやわと揉む。
(やぁんっ、いいっ…!)
いつの間にか脳裏には俊哉と和樹が浮かんでいた。
「美紅ちゃん今日もオマ○コ、とろとろだ」
「本当にエッチだね」
想像の中の彼らにそう辱しめられ四本の腕で身体中をまさぐられる。
無意識に美紅の指はそれと同じように動いていた。
(おっぱいも、あそこも気持ちいいのぉっ)
乳首をきゅっと摘まむと美紅の中もきゅっ、と締まる。
(…イっちゃうっ)
想像の中でイかされるのと同時に美紅は達した。
乱れた衣服を整え、浅く呼吸を繰り返す。
身体の疼きが引くと同時に罪悪感が襲ってきた。
心ではもうあの二人に会わないと誓っているのに、もう一方であの二人にもっとメチャクチャにされたいと思う自分がいるのだ。
ふと美紅は颯太のことを思った。
快楽に堕ちてしまった自分がますます颯太に遠い存在に思えて、美紅は悲しげに目を伏せた。