赤い眼-20
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「それが『赤眼のカリオペ』の始まりってか？」
黙って話を聞いていたスランがツマミを口に放り込んで聞く。
「有名になったのは私が女で赤い眼が珍しいだけだよ」
暗闇に光る赤い眼はターゲットにとっては恐ろしいものだ。
「で？何で今一緒に居るわけ？」
「それから４年ぐらいして、街でゼインを見たの……気づいたら『脱色』飲んでゼインに抱きついてた」
消していた感情が爆発して、いてもたっても居られなくなって……。
「ゼインったら嬉しそうに笑って『やっと金が返せる』ってお金渡したのよぉ？感動の再会が台無し」
カリーはクスクスと思い出し笑いをする。
「えらく細かく話したな」
聞いたのは自分だが、ここまで詳しく話すとは思っていなかったとスランは少し顔をしかめた。
セックスシーンまで細かく話されたのだから無理も無い。
「誰かに聞いて欲しかったのかな？」
スランならカリーが暗殺者だと知ってるので話せる。
「ね……スランは好きな人居ないの？」
「好きな……ねえ……昔、愛した女がターゲットで……そいつを殺してからは居ないな」
酷い事をさらっと言ったスランを、カリーは驚いて見つめた。
スランは少し笑ってグラスを傾ける。
「俺はそいつを殺す事で手に入れた。お前も考えただろ？」
ゼインを殺せば自分だけのモノになる……確かに考えなかったワケではないが……。
「それじゃ意味ないもん……一緒に同じものを見たいから」
「ははっ正解だ。俺は殺ってから気づいたがな」
（ああ……そうか……）
スランがカリーに興味を持った理由がやっと分かった。
自分と同じ立場に居ながら違う道……『殺す』ではなく『共に生きる』を選択したカリーがどうなるのか見たいのだ。
「さっさと白状すりゃ良いのに」
そうしとけばスランだって弱みにつけこんで無理矢理抱こうとは思わなかった。
「暗殺者だって？言えるワケないじゃん」
カリーはぶすくれてスランのグラスを奪って口をつける。
「あのチビは気にしねぇと思うけどなぁ」
「万が一気にしなくても無駄だもん。ゼインには好きな子居るし」
「そうなのか？」
「そうなの。だから、わざわざ言ったりしない。シグナーに見つかった時を考えたらそうでしょ？」
知らなかったら放っておかれるが、知っていたら情報が漏れ無いように抹殺される。