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手紙
【熟女/人妻 官能小説】

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女の手紙 その2-3


神様でも無い限り、
どんな人間でも「完全なる善人」はいないのではないでしょうか、
歩きながら足元の蟻を踏みつぶしても、
人はそれに気が付かなければ良しとするでしょう。

たとえ、それに気が付いたとしても、
単なる蟻の一匹のために涙を流す人はいないでしょう。

人とはそういうものなのです、例えた蟻がそうでないもっと大きな存在であり、
それを人と仮定した場合には、対応は違うはずです。

それは、人の持つ価値観の問題であり、心・・魂の問題ではないからなのです。
ですから、わたしは「善人」でいることを止めました。
何でも包み隠さずに話し合おうという彼の心を裏切っていますし、
そうしなければ、わたしの心のバランスが保てないからなのです。

お話しが長くなりましたね。
あなたは、わたしがどんな女になったのか知りたいのでしょう。

前の手紙にしたためましたように、わたしは男性達の慰みの女になっているのです。
それは、こちらに来てから知りあった或る女性からのお誘いなのです。
不器用なわたしを雇ってくれるところなど無いと前回書きましたね。

私は多少の生け花や、お習字、日本舞踊など少しの芸事を知っているだけで、
何の足しにもなりません。
それを生かして、生活の糧にすることは出来ませんでした。
あくまで趣味の段階でしたので・・

生活が困窮している私達は、水ばかりを飲んでいるだけでは生きてはいけません。
そんなわたしと同じ階に住んでいる顔見知りの女性が私に言ったのです。

「君恵さん、私・・いつも気にしているのですが・・」
「あ、はい、何でしょう冴子さん」
「ゴメンナサイ、立ち入ったことを言ってしまいますが・・」
「いえ、大丈夫です、冴子さんには色々と教えて頂き有り難いのですよ」
「そうですか、それなら安心して言うのですが・・」
「はい、どうぞ」
「実は、こんなに上品でお美しい女性なのに、
こんな場所で・・・色々と事情がおありなのではと」

「あ、はい、貴女には分かるのでしょうか、実は私達は駆け落ちなのです」
「はぁ、やはり・・」
「はい」



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