恋に変わるとき-7
またしても二人の間に流れる気まずい沈黙。
今までもこんな風に二人でだんまりになることはよくあったけれど、
ねえ、あなたはその度に何を考えてた?
黙って彼の顔を見上げていると、奴は舌打ちを一つした。
「クソ、そんな顔して見んじゃねえよ」
そう言って彼は、あたしを一気にベッドに押し倒した。
「……ホントに後悔しねえんだな?」
上から見下ろす臼井陽介の顔は、どことなく切なげだったけど、相変わらず綺麗だった。
あたしは黙って頷くだけ。
今は怖い気持ちよりも、アレを見られる不安よりも、臼井陽介が欲しい、一つになりたいって想いの方が勝っていた。
潤んだ瞳でジッと見つめて次のアクションを待っていると、彼は困ったような笑みを浮かべて身体を起こした。
「……どうしたの?」
突然あたしに背を向けた彼はボソッと呟いた。
「やっぱ、ダメだ」
「……え」
「お前とはできねえ」
突き放したようなその言い方が信じられなくて、起き上がったあたしは呆然と彼の背中を見た。
超がつくほどの女ったらしのコイツが、セックスを拒むなんて、よっぽどあたしを女として見てないってことなの?
それとも処女なんて、重かった?
「ねえ、何でできないの?」
「……無理だから」
勇気を出して想いを伝えても、それは見事に打ち砕かれた。
本音を言えば、コイツの身体も、そして心も欲しかった。
でもコイツがあたしなんかに本気になるわけないのは
承知の上。
だったらせめて身体だけでも、彼と繋がっていたかった。
でも、あたしにはそれすら許されないのか。
女なら来るもの拒まずだと思ってたコイツに拒否されたショックは相当なもので、あたしは目に涙を浮かべながら奴の背中を睨んだ。