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恋に変わるとき
【青春 恋愛小説】

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恋に変わるとき-8

「抱く気がないなら、最初から突き放してくれればよかったじゃない!

あんなキスしといて、変に期待させて……あんたはどこまであたしをバカにすれば気が済むの!?」


ボロボロ涙をこぼしながらそうやって怒鳴りつけると、彼もバッと振り返って負けじとあたしを睨みつけた。


「仕方ねえだろ、できねえもんはできねえんだから!」


「だから、その理由を言えっつってんのよ!

そんなにあたしって女として見れない!?」


「だから……そう言うことじゃなくてだな」


「何なのよ、はっきり言いなさいよ!」


あたしの剣幕にたじろいだのか、臼井陽介は一瞬怯んだ顔をしてから、数秒の間を持たせ、





「勃たねえんだよ!」





と、真っ赤な顔であたしを睨み返した。




……タタナイ???




頭の中が真っ白になって、ポカンと口を開けたまま固まる。


目の前で臼井陽介は口を尖らせて俯いているだけ。


勃たないってことは、つまりアレでしょ……、興奮しないってわけで……それは結局……。


女としてのプライドまで粉々にされたあたしは、般若のような形相で、臼井陽介に詰め寄った。


「結局あたしを生理的に受け付けないってことなんでしょうが!!」


「バカ、ちげえって」


「何が違うのよ! あたしとああいうコトしても身体が反応しないってことは、セックスなんてしたくないってことなんでしょ!」


すっかり錯乱したあたしは臼井陽介の胸をバシバシ叩きながら、喚いた。


こんなフラれ方、惨めなことこの上ない。


だったら最初っから無理だと言ってくれた方がどれだけよかったか。


やっぱりムカつく、臼井陽介!!


「あーっ、とにかく落ち着け、バカ」


散々喚いて暴れ狂うあたしを、奴はグッと抱き寄せた。


奴の腕の中であたしの荒い鼻息だけがフーフー聞こえる。


ムカつくけれど、コイツに抱き締められるとやっぱり胸が高鳴ってしまう。


「とにかく俺の話を聞けよ」


そう言って彼は、猛獣を宥めるが如くあたしの背中をポンポン叩いた。





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