恋に変わるとき-2
あたしがいるベッドからは、そのソファーは背もたれをこちらに向けているわけだから、臼井陽介がどんな状態なのかは伺えない。
でも、ピクリとも動かないその脚を見てると、奴も眠りについているというのは容易く想像がついた。
音を立てないように、そっとソファーの正面に回り込むと、窮屈そうに腕を組んだまま眠っている奴の姿が目に入った。
「……いた」
臼井陽介の姿を見て、更に安堵する。
少し口を開けて、身を縮こめて眠る彼に、なんだかクスリと笑いが込み上げてきた。
「ベッドがあんな大きいんだから、わざわざここで寝なくてもいいのに」
暖房をつけたままとは言え、布団をかけないなんて無謀過ぎ。
あたしは一旦ベッドに戻って羽毛の掛け布団をズルズル引きずると、彼に向かって掛けてやった。
――いや、待って。
もしかして、コイツはあたしに気を使って……?
ドクンと心臓が跳ねる。
先にベッドを占拠したのはあたしだけど、こんなデカいベッド、いくらでも寝るスペースなんてある。
それをしなかったのは、あたしが怖がらないように……?
懸念を抱きながら臼井陽介を見るけれど、相変わらずスースー寝息をたてながら無防備な寝顔をこちらに向けるだけ。
その瞬間、身体がカッと熱くなった。
そして、またあの変な気持ちが沸き上がってくる。
普段は意地悪そうに笑う彼も、寝ていればこんな無邪気なあどけない表情になっていて。
寝息が漏れる彼の唇はプクッと赤みがさしていて、弾力がありそうだった。
ゴクリと生唾を飲む音が響く。
いやいや、あたしは何考えてる!?
慌てて首を横に振って、さっきからまとわりついてる変な気持ち振り払おうとするけれど、その艶やかな唇から目が離せない。
そして、いつか言ってたコイツの言葉が頭によぎる。