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恋に変わるとき
【青春 恋愛小説】

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恋に変わるとき-1

「ん……」


カラカラに渇いた喉と、ガンガン痛む頭に顔をしかめてから目を開ける。


……何であたしが寝てる姿が映ってんの。


天井に映るあたしの姿。すっぴんに愛用の水玉パジャマの袖が少しフワフワの羽毛の掛け布団からはみ出している。


思考回路が正常化するまで数秒かかってから、あたしはガバッとその身体を起こした。


そ、そうだ、ここはラブホであたしは臼井陽介と……!!!


慌てて自分の身体を確かめてみるけど、パジャマ姿のそれはいたって荒らされた形跡もない。


痛む頭をフル回転させて昨日あれからどうなったのかを必死で思い出してみた。





優真先輩の浮気を知って、自棄になったあたしは、たまたま出くわした臼井陽介に「処女なんて捨てたい」と泣きついて、その結果ここに連れてこられて押し倒されて。


でも、やっぱり土壇場で怖気づいたあたしは目一杯抵抗した。


そんなあたしに、アイツはキレてしまったわけだけど、それはあたしがびびってセックスできなかったからではなく、あたしが自棄になって自分の身体を傷つけようとしたことに怒ってたと言うことを知り。


更には、あたしの処女は、本当に好きなやつのためだけにとっとけと温かい言葉をかけてくれて。


そしてあたしを励ましてくれるかのように、カラオケ大会に突入したんだっけ。




床に視線を移せば、大量の缶ビールや缶チューハイ、カクテルの缶やビンが転がっていて、テレビ前のローテーブルには食べかけのスナック菓子や、ピザの食べ残し、フライドポテトや唐揚げが入っていたであろう白い器なんかが散乱していた。


オールでカラオケ大会するなんて息まいて決行に踏み切ったあたしだけど、もともと真面目なあたしは一晩中起きて歌い続けたことなんてなかったもんだから、午前4時あたりになったところで、最後の気力を振り絞ってお風呂に入って歯を磨いて先に眠ってしまったんだ。


優真先輩ん家で使うつもりだったお泊まりセットがこんなとこで役に立つとは。


いや、今はそんなことに感心してる場合じゃない!


臼井陽介は……!?


せっかくあたしを励ましてくれようとしてくれたのに、疲れたからって自分だけサッサと眠る準備をしていたなんて、いくらなんでも失礼過ぎる……。


慌てて辺りを見回して、奴の姿を探し出す。


もし、愛想尽かせて帰ってたら……。


血の気が引きながらも臼井陽介の姿を探していたあたしは、ローテーブル前に置かれた革張りのソファーからジーンズを履いた脚がはみ出しているのが見えた瞬間、ホッと胸をなでおろした。






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