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恋に変わるとき
【青春 恋愛小説】

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恋に変わるとき-13








「……グ、メグ!」


ペチペチ頬を叩かれたあたしは、ハッと我に返った。


目に飛び込んで来たのはラブホの鏡張りの天井……ではなく、見慣れた自分の部屋のシーリングライト。


「あれ?」


パチパチと何度かまばたきをするあたしに、陽介が呆れたような苦笑いを浮かべていた。


「何寝てんだよ、風邪ひくぞ」


そう言われて身体を動かせば、さらりとした感触が脚にまとわりつく。


ふんわりかけられたタオルケットの中には一糸纏わぬあたしの身体が収まっていて、さっきまで何をしていたかが一気に蘇って少し顔が熱い。


夏ももう終わるとは言え、まだまだ暑い熱帯夜のせいでエアコンがガンガン効いた部屋に身震いを一つした。


「そっか、あたしいつの間にか寝ちゃってたんだ」


「第2ラウンドしようと思ってたら、寝てんだもん」


そう言って、陽介はボクサーパンツ一丁のままベッドに潜り込んできた。


「アハハ、ごめん。陽介に抱き締められてたら、ついつい懐かしいこと思い出して、気付いたらウトウトしちゃったんだよね」


「懐かしいこと?」


片肘ついてあたしの方を向いてキョトンとする彼に、あたしはフフフと笑いかける。


「うん、あたし達が付き合うようになった時のこと」


「あー、懐かしいな」


「不思議だよね、最初はあんなに陽介のこと嫌いだったのに」


「なあ、俺のどこがそんなに嫌いだったわけ?」


「チャラくて、女ったらしなとこ」


「ひでえな、お前と付き合ってからはそういう女関係は全部切っただろ?

今俺の携帯に入ってる女なんて、お前と母ちゃんと、羽衣くらいだぜ」


……そう、この超がつくほどの女ったらしは、あたしと付き合うようになった途端、全ての女関係を清算するため、アドレスも電話番号も替えてしまったのだ。


そこまでしなくていいよと言ったけれど、陽介は笑って「メグさえいてくれたらいい」って、付き合い始めたその日の内に携帯ショップで解約してしまった。


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